2022年3月3日木曜日

ハイデッガーの形而上学(22)































フランシスコ・スアレスにおける形而上学の概念と近代形而上学の基本的特徴


中世の形而上学の概念と古代とのつながりと真の問題を完全に覆っていることは、近代の形而上学、その発展、カントの位置、ドイツ観念論の発展について知ろうとする時には心に留めなければならない

アクィナスと中世哲学は、近代形而上学の発展にとって少しではあるが重要であることにも注目しなければならない

近代形而上学の発展に直接の影響を与えたのは、16世紀に生きた一人の神学者にして哲学者フランシスコ・スアレス(1548-1617)である

彼はアリストテレス形而上学を新しく解釈し直そうとしていた

スアレスの哲学者、神学者としての重要性はもっと認知されるべきで、彼の明察力や問いの独立性などに関してはアクィナスの上に置かれるべき思想家である

彼の重要性は、彼の影響の下で形而上学の分野が特定の形を採ったというような儀礼的なものだけではない

同様に重要なことは内容に関する問題を象ったことで、それは近代形而上学で再度呼び覚まされることになった

サラマンカにあったイエズス会が彼の活動に重要な役割を果たした


1597年、主著の Disputationes metaphysicae(全2巻)を刊行

サブタイトルにはその目的2つが示されている

1つは、自然神学(啓示に先立つもの)の内的構造全体を扱うことで、もう1つはアリストテレスの形而上学に属するすべての問題を適切に論じることであった

彼はアリストテレスの『形而上学』が秩序立っていないことを見ていた

この混乱を解消するために、主要な問題を体系的に並べようとしたのである

自然神学に関する全分野の議論はスアレスに行きつき、アクィナスにおいては形而上学的思考の応用とアリストテレス形而上学に対する注釈があるだけであった

デカルトは、ラ・フレーシュのイエズス会で形而上学、論理学、倫理学の講義を聴いていたので、スアレスについては熟知しており、後年に至っても折に触れてその書に当たっていた








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