2017年7月2日日曜日

奈良散策 (4) 入江泰吉記念 奈良市写真美術館



奈良散策の続きである
志賀直哉旧居からほんの少しだけ歩くと入江泰吉写真美術館があった
小雨の中を向かったが、出る時はこの通り太陽の光が出ていた
前日、奈良市内で本橋誠一氏の展覧会 「在り処(ありか)」 のポスターが目に入っていた 
同時に開催されている入江泰吉の「古色大和路」 も一緒に見ることにした




本橋氏はいろいろな人間を撮っていた
ベラルーシの人、日本の炭鉱の人、増毛の漁師、サーカスの人、女子プロレス、小人プロレス
さらに、昭和の上野駅、屠殺場の人などなど
人間は皆生まれ落ちると、兎に角生きなければならない
そこに如何なる苦しみがあろうとも、それを紛らわして生きなければならない
そんな姿が見えてくると、人間は何のために生まれてくるのか?という問いが湧いてくる
根源的な問いである
しかし、そんな問いに向き合う前にこの生が終わってしまわないとも限らない

大和路の方はほとんど人間が出てこない
悠久の自然を捉えている
ブティックには交流のあった文士の言葉が入江の写真に添えられているものがあった
その中に亀井勝一郎の名前を見つけ、何とも懐かしい気分になる
この時まで記憶の表面から消えていた名前であった
最初の学生時代に読んだことがある『大和古寺風物誌』から引用されている
彼は昭和3年に治安維持法違反容疑で逮捕され、昭和5年に転向して釈放されている
当時はそんなことも知らずに読んでいた





入江の写真を紹介したビデオ5編ほどを見てから館内のカフェ Fleur で疲れを癒す
ビデオを観ている時、それまでぼんやりしていた考えが一つの塊になったのを感じた
しばらく休んでから外に出ると、雨上がりのこんな名残が





そして、この日最後の目的地、新薬師寺に向かった






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