2020年2月3日月曜日

実在論と反実在論(3)



今日は、現代哲学者を惹き付ける反実在論のもう一つの形についてのお話である

世界は我々自身あるいは我々の理論によって作られているという考えを擁護した人がいる
ネルソン・グッドマンである
これは客観性を問題にしたのではなく、その再定義に関するものである

我々が記号システムを用いることは、結局は「世界を作る」ことに帰する
グッドマンによれば、言語、芸術、科学理論に含まれる記号システムは作られた現実を十分に記述しない
少なくとも、これらのシステムを機能させる出来合いの企ては前もって存在しない

彼は、客観性は不可能であると主張する反実在論者であるとは名乗っていない
しかし、我々は科学的・芸術的活動により世界を作り、作り変えることを主張する非実在論者だと言っている
それが『世界制作の方法』(Ways of Worldmaking)で擁護した点である
さらに、帰納の謎について書いた中で、反実在論と非実在論を正当化する議論を展開している

対象D、範疇 x1,x2、x3...xn、特性Fがあるとする
帰納による推論は、範疇xnまで特性Fがあるとすると、xn+1もFを持つとする
時にはすべてのxに特性Fがあるとさえ推論する

例えば、50羽の(白)鳥が白いとすると、次の鳥も白いと考える
もし黒い白鳥に出合ったとすれば、びっくりして認識できなくなるかもしれない
帰納による一般化は偶然に過ぎないことになる

カラスのパラドックス」(ヘンペル)という状況がある
A)もしカラスであれば、それは黒い
B)もし黒くなければ、それはカラスではない
この二つは論理的に同等で、Aを認めればBを認めることになり、その逆も真である

ここで問題にされているのは、カラスの黒さである
世界に存在する黒くないもの(例えば、ティッシュ―、雪、セーターなど)を調べてカラスがいないとする
それがカラスは黒いということを確認するというのは奇妙ではないだろうか


(つづく)






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