2017年6月16日金曜日

第11回サイファイ・カフェ SHE、無事終わる



今日は11回目になるサイファイ・カフェSHEがあった
今回は芸術と科学の融合を目指したエルンスト・ヘッケルという19世紀ドイツの科学者を選んだ
ダーウィン生誕200年、『種の起源』出版150年、ラマルクの『動物哲学』出版200年だった2009年
二つの会に参加した
一つはイスラエル(テルアビブとイェルサレム)で開かれたラマルクについての会議
もう一つは、英国ケンブリッジで開かれたDarwin 2009である
両方の会議で話をされていた方が2010年カナダであった「環境と歴史」会議でも発表された
その中に、人生を悲劇的に捉えていたという芸術家が科学者になったような人物が登場した
それがヘッケルだったのである
そして、この人物を紹介していたのがシカゴ大学の歴史家ロバート・リチャーズ博士であった
すでにヘッケルについての本 The Tragic Sense of Life (2008)を出されていることを知った

今回はそのヘッケルを取り上げ、複雑な人生と科学を考えることにした
そのことにより、科学のあり方について示唆が得られそうな気がしたからである
いくつかのポイントについて振り返った

まず、科学と芸術の関係である
絵画の才に長けた科学者だった彼は芸術と科学の融合を目指していた
ロマン主義が根強く残るドイツで、ゲーテやフンボルトのような科学者の影響を受けていた
それは論理や理性一辺倒の科学ではなく、主観や芸術などが絡んでくる世界であった
しかし、19世紀後半は科学が他の世界を切り捨て、科学主義的傾向を見せ始める時期でもあった
この両者の軋轢が彼の科学者人生にも影響を及ぼすことになった

それから彼はドイツにおけるダーウィン進化論の強力な喧伝役になる
「ダーウィンの犬」と呼ばれたイギリスのトマス・ハクスリーと並び称された
なぜ彼はそこまで進化論にのめり込んで行ったのか?
そこには彼が若くして経験した悲劇があったとリチャーズ博士は見ている
それが結婚2年にも満たない若妻の死であった
それ以降、この世界の見方が大きく変容することになったというのである

その他にも、彼が始めたエコロジーという学問はどのような思想から生まれたのか?
彼の人生には科学における不正行為の批判が付き纏ったが、実態はどうだったのか?
「個体発生は系統発生を繰り返す」という反復説の評価はどうなのか?
などの点も問題として取り上げた
また、ナチスに利用されることになった彼の思想はどのようなものだったのか?
人生後半に打ち込むことになる一元論運動の実態などについては詳しく見る時間がなかった

今回も議論が途切れることなく、広がっていたように感じた
そして、その議論は懇親会においても続いていたようである
お忙しい中、参加された皆様に改めて感謝いたします


会のまとめ







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