2022年6月20日月曜日

ゲーテの言葉から(6)















今日もゲーテだが、話はバイロン(1788-1824)に集中している

それでは・・・


1825.2.24(木)

「つまり、こうなると、詩人がいかに偉大であるかというようなことは、全然話にならず、むしろ、一般大衆からあまり傑出していないような人柄の方が、やたらに一般の拍手喝采を受けるというわけだ」


「私が独創性とよんでいるものに関するかぎり、世界中のだれと比べても、彼(バイロン)に及ぶ者は一人もいまい。彼のドラマティックな葛藤をときあかしていく方法は、いつも人の意表をつき、いつも人の考え及ばないような巧妙さをみせる」


「この人間から、とくにこの胸中から、湧きでてきたものは、何もかもすばらしかった。・・・彼は、偉大な才能を、生まれながらの才能を、もった人だ。詩人らしい詩人としての力が彼ほど備わっている者は一人もいないように思われる。外界の把握という点でも、過去の状態の明晰な洞察という点でも、シェークスピア(1564-1616)と比肩できるほど偉大だ」


「バイロンにとっては、イギリス貴族という高い地位が非常にマイナスになった。才能のある人物はだれでも、側から煩わされるものだが、まして彼のように高貴な生まれで、恒産を有しているばあいは、なおのことそうなる。中流程度の暮らしのほうが、才能ある人物には、はるかにましだね。だから、芸術家や詩人で偉大なひとはみんな中流階級から出ている」


「本当に他人の心を動かそうと思うなら、決して非難したりしてはいけない。まちがったことなど気にかけず、どこまでも良いことだけを行うようにすればいい。大事なのは、破壊することでなくて、人間が純粋な喜びを覚えるようなものを建設することだからだ」


「およそイギリス人というものは、本当の意味での反省を知らない人種だ。気晴らしや党派根性のために、じっくり教養を身につけることが不可能なのだ。しかし、実際的な人間としては、偉大だよ」


(山下肇訳)










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