2022年9月30日金曜日

プラトンの『ティマイオス』を読む(10)

























一つの生き物と身体各部との関係を教導する際に重要になるのは、魂である

従って、その魂を最も優れたものにすることが求められる

すでに、異なった3種類の魂が我々の中に住んでいることに触れた

その中で、無為に過ごし自身の動きを止めているものは弱いものになるのに対し、鍛錬されるものは強くなるのが必然である

そのバランスを取るように注意しなければならないのである


我々の魂の中で至上権を握っているもの(理性)は、神が神霊(ダイモーン)として各人に与えたものである

そこで欲情や野心の満足のために汲々としている者は、その思いのすべてが死すべき(地上的な)ものになり、その人自身も死すべきものになる

これに対して、学への愛、真の知に真剣に励んできた者がもし真実に触れるなら、その思考の対象が不死なるもの、神的なものになるのは必然である

さらに、そうした人も最大限の不死性にあずかることになり、自身の同居者である神霊の世話をしているので、幸福(エウダイモーン=よき神霊を持てる者)であることも必然である


ところで「世話」というものだが、その方法は唯一つ

それぞれに固有の養分と動きを与えてやることである

生れた時に損なわれてしまった我々の頭の中の循環運動を、万有の調和と回転運動に学んで矯正し、観察する側を観察される側に似せ、前者を本然の姿に戻さなければならない

そのことにより、最もよき生を全うしなければならないのである










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