2016年11月25日金曜日

「サイファイ・フォーラムFPSS」 の呼び掛け


   「サイファイ・フォーラム FPSS」 の呼び掛け
Forum of Philosophy of Science for Scientists 
―― 科学者のための科学の哲学フォーラム――
 
     
【趣旨 「科学を文化として」という声をよく耳にする。しかし、科学者が科学を文化として扱ってきただろうか。何か新しい成果が見つかると、それはこれこれの病気の治療に結び付く、というところでいつも終わっている。それは科学を技術としてしか扱っていないことである。そこには思考というものがなく、まさにハイデッガーが指摘した通りの科学の特徴が現れている。そこから脱しなければ、科学は文化にならないだろう。そのためには、現場から物理的あるいは精神的に離れた立場にいる人が科学について考える過程に参加する必要があるだろう 

これまで提案してきた「科学の形而上学化」は科学の外の領域が科学の中での研究と発見について考察するもので、そこまでを含めた活動を新しい科学の全体として再定義しようとするものである。つまり、形而上学化されていない科学は不完全な科学ということになり、このような試みを行って初めて科学は文化になる可能性が出てくると考えている。

自らを振り返っても、現役の研究者はそのような活動の時間がなかなか取れないと思われる。しかし、現場から離れた研究者、あるいは退職後の研究者にとってはうってつけの営みになるだろう。これも個人的な経験になるが、現場を離れてからの方が科学を近く感じるようになっている。それは科学をこれまでとは違う視点から眺めることができるようになるだけではなく、より全人的な立場から科学に向き合っている感覚がそこにあるからではないかと考えている。この感覚を現場の科学者、さらには市民と共有しながら科学について語り、考察することが科学を文化にする上で重要になるのではないだろうか。 

科学に内在する哲学的な問題、新しい研究成果の中に見られる哲学的なテーマ、さらに研究の進展に伴って現れる倫理的な問題など、考えるべき材料には事欠かない。その上、このような問題について考えることのできる最も近いところにいるのが、実は科学を経験した上でそこからある程度の距離を取っている人である。これまで携わってきた領域を新たな目で学びながら眺め、科学が明らかにするこの世界の断面について考え直すことにより、われわれが生きている世界の理解を深めることができれば素晴らしいと考えている。さらに、そこから科学の世界だけではなく広く社会に発信することにより、科学についての教養、あるいはわたしの言葉を使えば、科学についての「意識の第三層」を深め充実させることにも繋がることが期待される。科学の学会でも哲学の学会でも扱われることのない科学者の身近にある問題を科学に身を置いた者同士が語り合い考えることは、科学を文化とする上でも重要な営みになるだろう。そして、このような試みに関わることにより、自らの生をも豊かにすることができるものと確信している。 

【対象】 呼び掛け人の背景もあり、領域は生物系に限定して始めることにしたい。この領域の、そしてこの領域に興味をお持ちの元研究者、現役研究者、および科学者との意見交換が可能な哲学をはじめとした人文社会科学を専門とされている方の参加を期待している。但し、科学者以外の参加を除外するものではない。 

【運営】 具体的なやり方については賛同者が一堂に会して(それが難しければメールで)ざっくばらんに意見交換する機会を持った上で決めていくというのが現実的だと考えている。基本的に留意したいことは、あまり形式ばらず、個人が前面に出るフラットで緩やかな繋がりにしていきたいという姿勢である 

科学について広く考え、科学の側から科学を文化にしようとするこのような試みについてのご意見あるいは興味をお持ちの方 、she.yakura@gmail.com までご連絡いただければ幸いです。

具体的に動き出すのは、来年春以降の予定です。
ご理解、ご協力のほど、よろしくお願いします。    


サイファイ研究所ISHE代表&
フランソワ・ラブレー大学客員研究員
矢 倉 英 隆


(2016年12月10日改訂)

PDF版はこちらからお願いします

専用サイトは以下になります
http://sci-phi-fpss.blogspot.fr/






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