2020年5月14日木曜日

哲学における論理学の役割(12)




哲学史における論理学(1)

思想史について何世紀にも亘って意見を述べることは、単純に滑稽ではないとしても無謀なことである
しかし、それをやってみようではないか
読者にはこの話を少し後ろに下がって、いくらかの皮肉をもって読んでいただくようにお願いしながら
現状を理解するためには、それが不可欠なのである

まず、中世における哲学から始めよう
このテーマについて語り始めると、時代錯誤の危険性が大きくなる
18世紀のパリ大学哲学科の学生と今日の学生の間に大きな共通性はなく、その知的世界は大きく異なっている

しかしデカルト以前には、哲学と神学の研究と本格的研究全般は、論理学の学習から始まったことが明らかである
今日の哲学科の学生と中世のパリでサント・ジュヌビエーブの丘に足繁く通う将来の聖職者には多くの共通点がなかった
それと同様に、当時の論理学はフレーゲ以後の正式な学科と同一視できない

中世における論理学(logica vetus=old logics)はまず第一に、リストテレスのテクストの研究であった
具体的には『範疇論』、『命題論』、ポルピュリオスの『エイサゴーゲー』(リストテレスへの注釈)である
ボエティウスもこのような注釈をしている

12世紀の中頃から、新たに再発見されたリストテレスの3論文と遅れて発見された1つを新しい論理学とした
logica modernum=modern logicsである
論文とは『分析論前書』、『詭弁論駁論』、『トピカ』で、後から見つかったのが『分析論後書』である

これは用語(言語)とその帰結(議論)の理論である
研究の構成の中心には、自由七科(リベラル・アーツ)がある
言語に関わる三学(トリウィウム: trivium)と数学に関わる四科(クワードリウィウム: quadrivium)に分けられる

三学とは、文法、修辞学、論理学である
それぞれの学生はこれらを必ず実践しなければならなかった
真理に至るためには論理学が不可欠であるという考えが優勢だったのである

(つづく)






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