2017年2月27日月曜日

欠けている外から見える像



週の初めは新鮮な気持ちになり、勤めを果たそうとする気持ちになるのは不思議だ
今日もいつもの旧市街のカフェへ
おそらくは学生アルバイトではないかと思われる店員が、注文の時に声を掛けてきた
これまでの様子を見て、一体何をやっているのか不思議に思っていたようである
何をやっている人なのか訊いてきた

これまでの経過と現在のプロジェを話すと納得していた
実は昨日、プロジェをオーガナイズし直したところだったので、いつもの不思議な繋がりであった

その学生は高校の時に日本語を1年やって挫折したとのこと
他にはイタリア語、それからなぜかアラビア語もやったという
こちらの学生は異言語に開かれているという印象が強い

こういう出来事があると感じるのは、こちらが見られているという意識が全くないということだ
外から見ると、変なおじさんがいつも決まった席で何かをやっている、という像が浮かび上がる
それはそれで興味深いものがある
しかし、そのような図を余り気にしていると何もできなくなるだろう
これまで通り、こちらから見ている図だけを受容して進むのがよいのではないか



大統領選関連

左派の共闘が問題になっていたが、結局アモンとメランションの共闘はならなかったようだ
間に入っていたエコロジストのジャドーはアモンを支持することに
左派への票が割れることになりそうである
一方、マクロンはバイルと共闘することになった

最新の第1回投票の予想の大枠は変わっていない
ル・ペン(27%)、マクロン(25%)、フィヨン(19%)、アモン(13%)、メランション(12%)の順
バイルとの共闘のせいか、マクロンの数字が上がっている
この数字はアモンとジャドーの共闘発表前なので、アモンへの影響は不明である
決選投票は、マクロンが出た場合は58%、フィヨンの場合は55%で前回と変わりはない

フィヨンは選挙戦のためか、内戦のようになっているのを放置していると政府を非難している
静かにそれぞれが選挙を戦えるようにすべきだとしている
彼は選挙戦が左派によって妨害されたと見ていて、折ある毎に批判を繰り返している
しかし、内務大臣はそれは根拠のない言いがかりで、その原因は彼自身にあると反論している





パスカルの幾何学的精神と繊細な精神



昨日はよい天気だったが、今日は終日の曇天
午後から街に出る
まずまずの時間となった

昨夜、パスカルを読む
何とよく入ってくることだろう
こちらに来た当初とは大きく違っている
意識の第三層が広がり、その空間にすんなり入って行けるからだろうか
極言すれば、その中に入ることができなければ哲学書は難しいものになるのではないだろうか
尤も、それでも付いて行けないものも少なくないのだが、、、

パスカルを読んでいる時、次のような考えが浮かぶ
哲学者の役割は読者をそれぞれの内なる世界に誘うことではないのか
それは意識の第三層への誘いでもある
その上で、最も深いところに目を向けさせることができる人が優れた哲学者になるのだろうか

パスカルの言う幾何学的精神(Esprit géométrique)と繊細な精神(Esprit de finesse)
この対比も意識の三層構造を頭に入れるとよく理解できる
すなわち、前者が意識の第二層に留まる科学的精神で、後者は第三層に及ぶ思考と対応している
パスカルが批判したデカルトは前者の精神が優っていたのだろう
それに対して、パスカルはそれを認めた上で、繊細な精神の重要性についても理解していた
私の立場をこの図式に当て嵌めれば、前者は重要ではあるが、それを超える後者が欠かせない
となるだろうか


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lundi 27 février 2017

最初のブログで、パスカルとデカルトの対比ついて触れていたことを思い出す
まだ日本にいる時のことである
改めて読み返すと、デカルトに関する次のような記述があった
デカルトはフランスに根を持たず、30年のうち5年しか故国で生活していない
自分の社会的な地位を確立することに努めなかった
自由な精神を維持するためには慣れ親しんだ関係を避けること
孤独、沈黙、人目を避けること (l'invisibilité) が重要になる
そして、有名な Larvatus prodeo (私は顔を隠して進む)をモットーに生きてきた
その意味では、わたしはカーテジアンに近いのかもしれないと分析
しかし、精神活動の内容については、理性、科学だけでは満たされない気持ちが現れている
その頃すでにパスカリアンの道を模索し始めていたように見える







2017年2月26日日曜日

「大」政治家、あるいは「精神の力を信じる」

        François I (1494-1547)
 

メディアの世界に触れること自体が10年振りで、今年の特徴になっている
手始めは大統領選に関連したもので、目に触れたものを簡単に纏めている
まだ始めたばっかりなので、全体像はなかなか見えない
今日途中から観たビデオでは、政治家の中でも「大」が付く存在が話題で、5-6人が論じていた

取り上げられていたのは、ジョルジュ・クレマンソーシャルル・ド・ゴールフランソワ・ミッテラン
いずれも立派な著作を残している
これらの政治家は演説の力強さと説得力が際立っていたという
その背後には彼らの思想があり、それは彼ら自身の言葉がしっかりしていたことの証左である

ミッテランの演説の中に、次の言葉があった

« Mes chers compatriotes, ... je crois aux forces de l'esprit ... »
 
先日のリブレリーで、Croire aux forces de l'espritMarie De Hennezel) という本を見つけたばかり
ミッテランと接触のあった心理学者が著者である
その時「精神の力を信じる」というミッテランの言葉を知ったが、それが今日再び現れたことになる
よくある流れだ

現在の政治はテレビ、ツイッター、FBなどの条件反射的な言葉が主体になっている
さらに、世論調査やメディアのプレッシャーがあり、時間もなく、非常忙しくなっている
現在の政治家は天職とか使命という側面が薄れ、単なるキャリアになっている
大統領の任期が5年ではまとまった仕事をするのが難しい
再選を禁止して7年にしてはどうかという人もいた

これから「大」政治家を輩出することはできるのか?
それは余程の「状況」が生まれないと難しいのではないか、というのが皆さんの結論だった









2017年2月25日土曜日

小さな発見、現代のディオゲネスか?



今日は久し振りに晴れてくれた
いつものバス停が学生で溢れていたので反対方向のバスに乗り、リベルテへ
昨日の続きになるのだろうか
そこからトラムで中心街に出た

いつものように街路に座り込んでいる男がいる
この景色はこの町に来てから何度も目にしていた
勿論女性もいる
そして、彼らの多くが犬を連れている
そのことは知っていたが、今日初めてその姿と犬儒派が繋がるのではないかと気付いた
彼らは現代のディオゲネスかも知れないと気付いたのである

今まで気付かなかった繋がりに気付くというのは、わたしの中では発見と位置付けられている
何かを発見した時には、なぜそれまでそのことに気付かなかったのかという思いが湧いてくる
今日はいつもと違う経路を取ったため、新しい視点で見ることができたのだろうか
いずれにせよ、嬉しい発見であった
そのためか、午後の時間も充実したものとなった
さらに、素晴らしい微妙な曲線が描かれた空も仰ぐことができた






2017年2月24日金曜日

地球外生命、あるいは興味尽きない宇宙




本日もどんより曇っていたので籠って翻訳をする
これは一気に出来上がるというものではない
地道に歩いてある日気が付くと終わっているという代物である
なので、期待しないで待つという気持ちが欠かせない
最も向いていない「仕事」になる

昨日、地球外生命の可能性がこれまででは一番高いニュースを目にした
太陽系から40光年ほど離れたところにあるTRAPPIST-1という星に7つの惑星が発見されたという
すべて地球サイズで、その名はTRAPPIST-1b, c, d, e, f, g, h
この中のe, f, g には生命に必須となる液体の水があり、気温も地球に近い
そこに存在する分子については、これから解析することになるようだ
もし実際に生命体が見つかるとすれば、いろいろな方面に大きな影響を与えることになるだろう
その昔は、地球外生命体の存在はほとんどあり得ないという話が優勢だったようにも思う
われわれは興味が尽きない宇宙に生きているようである



大統領選関連

マリーヌ・ル・ペンの外交政策についての記者会見(演説会)の中継を途中から見る
1時間近い演説だったようである
聞えてきたところを順不同で少しだけ


ヨーロッパのグローバリゼーションであるEUはヨーロッパではない
それぞれの国に制限を加え、破壊的な影響を与えている
フランスとフランス語圏も分断されている
フランスは米国、ロシア、中国と4大軍事大国だが、自由に動くことができない
自由な国民国家が集まったヨーロッパ
EUではないヨーロッパの再生を目指す

移民は経済的な負担になる
しかし、外国からの留学生、諸外国との交流(経済、工業技術など)は歓迎する
外国からフランスに来て住んでいる人には、フランス人と全く同じ権利を認める
彼らをフランス人として扱う

あらゆる時、場所、テーマについて何の制限もなく見て行動し、創造的で開かれた解を見出す
フランスの自由と安全を守るために
絶対的個人主義という言葉も聞こえた

フランスには世界に誇る文化がある
レヴィ・ストロース、オーギュスト・コント、国境なき医師団、パスツール・・・
フランス人は一人ひとりがフランスの外交官にならなければならない
そのために、語り、知り、働き掛け、創造しなければならない

これからは国益を守ることが重要だ
それは自由であり、それだけが唯一の勝利になるだろう
すべての国とともにその実現に向かっていきたい


リベルテが頻繁に出てくる演説だった
お話は現実にぴったりと寄り添ったもので、理想的なことを謳い上げるところは少ない
マクロン的なイメージ先行のものとは違い、地に足が付いたという印象であった
ル・ペンと聞いた時に浮かぶものとは違い、意外に違和感の少ないものであった

イメージとは恐ろしいものである
それはテレビをはじめとするマスコミと置き換えてもよいだろう
演説の中にもあったが、見ることは知ることではない
各人が自由の中で知る作業をやらなければならないのだろう
それほど自由が大切ということになる

フランス文化のところでコントさんが出てきたが、わたしにも関係するので喜ばしいことであった
ブラジルの国旗に彼の哲学が出てくるからだろうか

やはり、今フランスにいるようである




2017年2月23日木曜日

新しいリブレリー発見



今日は朝からどんよりした曇り
午後から旧市街へ
まずまずの時間となった

帰りにいつも通っているところを違う視点から眺める
すると、これまで気付かなかったリブレリーが目に入ってきた
中に入ると結構よい

この辺りにリブレリーはないと決めてかかっていたのかもしれない
あるいは、そこにあるのに目に入らないという最近の症状の一つに過ぎなかったのか
こんな小さな発見が大きな喜びを運んできてくれる
安上がりである



大統領選関連

左派を纏めようとしているエコロジストの候補ヤニック・ジャドーさんの話を聴く
本気のようだ
彼はエコロジスト、ソーシャリスト、ヨーロピアンの政策に関して各候補者が合意できると考えている
メランションはいずれについても強硬だ
アモンも基本的な重点は同じだが、EUへの金の出し方は考えなければならないとしている
理由はまだよくわからないのだが、彼の政策は実現不可能のユートピアだと批判する人がいる
しかし、彼はいずれも実現可能だと考えている
もし彼の政策がユートピアンだとすれば、メランションの方はどうなるのか
周りには共闘は不可能だという人もいるが、アモンはそうは考えていないようだ
いずれにせよ、時間的に見ると今週末が最後の機会のようである
もし共闘ができれば、ジャドーは候補から降りると言っている

現在の社会情勢はル・ペンが特に選挙運動をしなくてもよいようになっている
彼女の政策を受け入れざるを得ないと考える人が少なくないからだ
だが、それでよいのか、というのが左派の考えになるのだろう
ル・ペンが選ばれた時に権力の座に就く人たちがどんな人で、どんなやり方をするのか
そこに不安があるのではないだろうか





2017年2月21日火曜日

アフリカ大陸を眺め直す



本日、バス停で備え付けのベンチに足をぶつける
それを見た中年女性が微笑んだので、年のせいで運動能力が落ちて困りますと言う
するとその女性は、わたしなんか階段を降りる時におかしくなりますよ、と返してきた
さらに、いや上がる時もそうなりますね、などと付け足した
それからバスが来るまで話をする

訊いてみると、ナイジェリア人で英語の方が得意だという
ナイジェリアは英国の支配下にあったからで、地元の言葉と英語のビラングが普通とのこと
アフリカと言えばフランス語が多いという程度の思い込みしかなかったことに気付く
ウィキに当たってみると以下の図が出てきた
アフリカ大陸がどういう大陸なのか、その歴史を見る思いだ





大統領選関連

まず、左派の共闘話だが、ジャドーがアモンとメランションの間に入っている
しかし、今のところうまく進む気配はなさそうである
この歴史的なチャンスを捉えるべきだと考えているジャドーは、歴史的な無責任だと批判している

新しい世論調査によると、ル・ペンの健闘が目立っている
1回目の投票では、これまででは最高の27%の得票率になっている
これはヨーロッパ議会での架空労働の疑惑の中でのことである
フィヨンの場合とは大きな違いである
これは決選投票でも彼女が勝つという徴ではないかと言っている人さえいる

その決選投票の予想だが、これまでと変わらずフィヨンにもマクロンにも負けることになっている
ただ両候補との差は確実に狭まっており、いずれ交わるのではないかと思わせる曲線である 
現在のところ、フィヨンとは56%対44%
マクロンとは当初63%対37%だったが、58%対42%と大きく盛り返している

決選投票について、1回目の投票後に雰囲気がガラッと変わるので、予想できないとする人がいた
今回はル・ペンの父親の時のようなことが起こるとは考えられないだろう
どのようなことになるのか、興味深いものがある





"Age of Anger"、あるいはパンカジ・ミシュラさんから見た現代社会



昨日、用事があり駅へ
キオスクで久しぶりにル・ポワンを手に取る
その中に、アングロサクソンの世界で話題になっている本が紹介されていた
フランス語で L'ère de la colère (怒りの時代)

原題はAge of Anger: A History of the Present (Farrar, Straus and Giroux, 2017)
著者はインド出身のパンカジ・ミシュラ(Pankaj Mishra)さん
まだ、日本語訳は出ていないようである
その主張を簡単にまとめると以下のようになる

昨年特に顕著になったが、それ以前から進行している現象がある
例えば、トランプ現象、ブレクジット、ポピュリズム政治、プーチン、イスラム過激派、、、
これらは文明の衝突では説明ができない
むしろ、「市民レベルの世界的な戦争」と捉えるべきだろう
「リベラルでコスモポリタンなエリート」対「進歩の果実にありつけない不満を持つ大衆」の戦争だ
これは一時的なものとは程遠く、大衆の怒りは根が深く、ますます増大するだろう

ヨーロッパの啓蒙時代に始まった流れに問題を見ることができる
当時、自由な個人が理性を用いて進歩に向けて励んだが、それは今まで有効な考えであった
それが人々に幸福を齎したからだろう
しかし、このやり方は人々が同じことをやるため、世界が均質化して来る
必然的に競争が入り、その過程で「ルサンチマン」(恨み)の感情が生まれてくる

この根にヴォルテールルソーの対立を見ることができるだろう
一方に、理性とアングロサクソンの自由主義を謳い上げ、大衆から隔絶された「エリート」がいる
他方に、パリの社交界を拒絶し、近代社会にネガティブな感情を抱いた人間がいる
ヴォルテールの謳った自由は彼のようなある枠の中にいるインテリのためのものであった
彼はユダヤ人や黒人などを軽蔑していた
これに対して、ルソーは近代人が模倣と競争に疲れることを見通していた
それからの解放を求めたが、富や社会的地位の追求はルサンチマンを生み出すことを見ていた
その結果、テロリズムやデマゴギーが現れるが、それは18世紀の終わりから始まっている
イスラム過激派は宗教の産物ではなく、近現代の産物なのである

啓蒙時代に始まる進歩には著しいものがあるが、そこには欺瞞が含まれている
確かに寿命は延び、死亡率は減っているという数字はある
しかし、すべての人がその恩恵に与かっているだろうか
それが幸福な生活に結びついているだろうか
失業や故郷喪失、そして環境破壊などから来る生活の質の低下はないだろうか
解決策はわれわれのような作家やインテリが新らたにこの問題を考え直すことだろう
いかなるイデオロギーからも自由になって


わたしの言葉で言えば、枠組みのない更地から考え直すことが重要だということになる
この姿勢は、どのような問題を考える時にもカギになるものだろう









2017年2月19日日曜日

春の息吹、そしてミッテランの言葉



昨日は暖かかったが、今朝は霜が降りていた
しかし、春の息吹は確実で、止めることはできない
太陽が出てきて、お昼前には消えていた
今日も午後から試合があるようだ



大統領選関連

フィヨンに対する反応が国民と支持者の間で大きく乖離している
国民の65%は大統領選からの撤退を望み、支持者の70%は最後まで行くことを望んでいる

左派の共闘についての話し合いが続いているようだ
まだ、アモン、メランション、ジャドーの三人が揃っての会談はされていない
メランションからアモンへの公開状がネットに出ていた
マクロンの政策には真っ向から反対している
今週末には再びアモンとメランションが会って話をするようである
どうなるのか目を離せない


古いブログで見つけたミッテランの政治に対する言葉を
「私にとって政治はすべてではない。最優先のものでもない。政治というものは本来、科学に仕え、哲学を謙虚に具現するだけのものだ。そして政治が大自然の知恵や人びとの営みを忘れ去った時、それはもう一本の切り花にすぎない。切り花はすぐに枯れる」 
これは仕事をどう捉えるのかという問題に通じている
仕事はより深いものに支えられていなければならないという考えになるだろう
私が言うところの「意識の第三層」に当たるようなものの開拓が求められるということでもある





春来る



今朝も啄木風に始まった
「すぐに動く気にならず、じっと空を見る」
これが至上の楽しみになって久しい
今日も次から次に現れる飛行機雲
そして、どんどん曲線を描いてくれる
これだけで一日は満ち足りたものになるので、用心しないと危ない

今日も強烈なる誘惑を振り切り、旧市街へ
いつものカフェで数時間、眠くなるものの結構良い時間となった
店員さんもどこか弾んでいて、こちらも気持ちよくなる
それは週末のせいだと思っていた
そして帰り道、プリュムロー広場に行って驚いた
何ということか、先週まで人っ子一人いなかった広場が人で溢れているではないか
そのざわついた感じともう出ているアコーデオン弾きのおじさんの音楽で全く違う世界になっていた
音をお聞かせできないのが、何とも残念である
店員さんが弾けているように見えたのは、春のせいだったのである







2017年2月18日土曜日

久し振りのガスの朝、そして大統領選



今朝は久し振りにガスがかかっていた
しかし、いつものようにお昼に向けて次第にガスは薄まり、午後からは晴れ上がった
夜にはラグビーの試合が予定されているようで、グラウンドがライトアップされている

日本では花粉の季節が始まっているようだが、ここに来て目がやや痒いような気がする
パリでもそういうことがあったが酷くはならなかったので、もう少し様子を見てみたい
まだ天国であってほしいものである


大統領選である

一回目の予想得票率の順位は以前と変わらない
トップを走るマリーヌ・ル・ペンにフィヨンと同じ問題が指摘されていた
ヨーロッパ議会の助手として雇っている12人の内2人がそこでは働いていないという疑惑である
一人はル・ペンのボディーガードとして、もう一人は個人の助手として働いていた
ブリュッセル、ストラスブール、ルクセンブルクでの勤務と居住義務が守られていなかったのである
ル・ペンはそのことを認めている
しかし、2009年からの給与34万ユーロの返還を彼女は拒否している
フィヨンの場合に比べ、こちらは大きな問題にされてこなかった印象がある
これからどうなるのだろうか

一方、左派の連携だが、アモンとメランションの間で既に話し合いがあり、さらに続けられるという
この二人にヨーロッパ・エコロジーヤニック・ジャドーを加えた共闘も視野にあるようだ
基本的な合意点は、エコロジーに重点を置いた経済への転換と労働者の状態の改善
ヨーロッパをどうするかについて同意が得られるのかが問題になるようだ
上記と同様の政策と財政的な支援、安全対策などについてEU内での条約締結に至るのかどうか
メランションは連携への道は容易ではないという前回と同じ考えを表明している

現在ル・ペンに続いているマクロンだが、アルジェリアを訪問して語った言葉が問題になっている
それは、「アルジェリアの植民地化は人道に対する罪である」というもの
これはアンチ・フランスで、現在の基準で過去を断罪するのは許されないとの批判が起こっている
特にフィヨン・サイドからの攻撃が激しく、彼は政治的に未熟であるとしている
フィヨンの支持率が回復したと前回書いたが、そういうことはないようだ
現在、サルコジと接触して助けを求めているようである

別のターブル・ロンドでは、一回目と二回目の投票の基準が違うという話が出ていた
一回目は自分の支持するところに固執するところがあるという
ル・ペンはおそらく決選投票に進むだろう
助手の問題があっても支持が減らないのは、とにかく彼女の政策を支持する層がいるからだという
それが二回目になると、国を任せられるのは誰なのかという基準になるという
今のところル・ペンは選ばれないような数字がある理由は、その辺りにあるのかもしれない
彼女は権力を行使した経験もないし、国に亀裂が生まれる可能性があるという見方もあるようだ







2017年2月16日木曜日

その時にやりたいことをやる



当地も暖かくなって来た
近くの部屋からは、相変わらずあまりお上手とは言えないトロンボーンの音が流れてくる
昼間から何もしないでそんなことをしている人とはどういう人なのかと思わず想像してしまう
同じことはこちらにも言えるのだが、、、

昨日都会に出たため疲れたのか、今日はゆっくりと過ごす
こういう日は少し長いスパンのことを計画するのに向いている
計画を立てるのはいつもうまく行く

現在、いくつかのプロジェを抱えている
それらを一つの型に嵌めてやろうとすると、うまくいかない
予定を決めずに、その時にやりたい気分になることをやればよいというところに落ち着く
精神に負担をかけない点でもこのやり方が良さそうである
問題は、その時にやりたいことがのんびりしたいことの方が多いことだろう
何事も難しいものである






パリで日帰りの用事

Gustave Doré, Monument à Alexandre Dumas (père) (1883)


今日は用事があり、朝からパリへ
途中の車内でのこと
年配の4人組が話をしているのが耳に入ってきた
いつも感じることだが、こちらの人は言葉がしっかりしていて、一般的によくしゃぺる
人と人との間の距離が近い感じがする
人生を楽しんでいる風情も伝わってきた
偶に帰る日本でこのようなことを感じることが少なくなっているように思うのだが、、

前回の訪問は1月中旬
あの寒い風を思い出す
しかし、ひと月経つとすっかり春らしくなっていた
もう少しで夏時間も始まる
世界が明るくなる季節になってきた

今回は日帰りにした





2017年2月14日火曜日

活動的な週の初め、そして谷口ジロー氏亡くなる



昨日は朝から活動的に動くことができた
週の初めはそのような傾向はあるが、これまで以上の出来であった
それが週の前半だけであるのは残念なのだが、今週はどうだろうか
先日触れたトラムの支え棒の飾りだが、見直したところでは付いていないものも珍しくない
こちらの注意が散漫だった訳ではなさそうである


大統領選の情勢に大きな変化は見られない

全体を見渡すと、これまで通り、一回目の投票ではル・ペンが26%と先頭を走っている
ただ、2位はマクロン22%で変わらないが、3位のフィヨンが21%と盛り返している
決選投票はフィヨンが残るとフィヨンだったが、その数字が2ポイントほど下がってきた
ル・ペンが僅かだが迫ってきたことになる
マクロンの方も2ポイント下がっているが、こちらの場合は最初から差がかなりある

ここに来て、左派のメランションとアモンの連携話が出てきている
今のままでは最初の投票で4位以下に終わることが見えてきたからだろうか
連携がうまく行けば、決戦投票に残る可能性も出てくる
ただ、メランションは選挙は遊びではなく、闘いであると言っている
そんなに簡単に纏まるものでもなさそうだ
どのようなことになるのか、経過を見守りたい






少し遅くなったが、谷口ジロー氏が2月11日に亡くなっていたことを知る
まだ69歳という若さであった
すでに大きな仕事をされたということだろうか
ブログを調べてみたが、これまで結構取り上げていたことに驚く
特に、こちらに来る前のブログによく名前が出ていた

谷口ジロー (2005-05-18)

 フランス人のブログからこの漫画家を知ったことが分かる

雪を愛で、「植田正治: 写真の作法」 を見て LA NEIGE ET SHOJI UEDA (2006-01-21)

 写真家の植田正治氏の作品と通じるところを見ていた

谷口ジロー 「冬の動物園」 Jiro Taniguchi "Un zoo en hiver" (2009-06-27)

谷口ジロー 「父の暦」 の映画化 (2010-01-18)

「遥かな町へ」 がすでに映画になっていたとは Le film "Quartier Lointain" (2011-05-07)

お昼から 「ふらり」、そして谷口ジローさんの "Furari" に遭遇 (2012-02-23)

ミシュランさんの授賞式に出席、久し振りのカルペ・ディエム (2015-10-06)

 谷口氏の『晴れゆく空』を翻訳した人にも会っていた





2017年2月13日月曜日

哲学的感情、あるいは世界の全体をどこに見るのか




雑誌「医学のあゆみ」に連載中のエッセイを紹介いたします

第41回 哲学的感情、あるいは世界の全体をどこに見るのか

医学のあゆみ (2016.2.13) 256 (7): 847-851, 2016

お暇の折にでもお読みいただければ幸いです

よろしくお願いいたします






新しい人発見



今日は雨がそぼ降る寒い朝であった
そんな中、いつものようにぼんやりする
いくつか埋め合わせになるようなアイディアが浮かぶ
本当になぜか分からないが、外気に触れ、特に紫煙を眺めながらの時間の力には驚かされる
午後から明かりが漏れるようになって来た
のんびりした日曜になりそうである

今日、トゥールに来てから買った本の印象が薄いことに気付いた
殆ど思い出さないくらいだ
それは新しい領域を探して驚きの目で見るということがなくなっているからではないか
これから暫くの間は、これまでに溜まっているものを深めたいという願望があるからだろう
そんな中、こちらで買った本の中でこれからどこかに繋がりそうな新しい人何人かに出会った





2017年2月12日日曜日

映画 Silence を観る





今朝のグランドは微かに白かった
しばらくすると、本当にはらはらと細かな雪が舞降りてきた
淡雪とでもいうのだろうか
ほんの僅かの間のことであった
トゥールでは初めての雪となった

午後から遠藤周作原作、マーティン・スコセッシ監督の『沈黙』を観る
バージョン・フランセーズだったので、昨日のクールの続きのようであった
そのせいではないと思うが、観終わった後にこれといったものが沸き上がってこない映画であった
当時、自らの信仰が禁じられている異教徒の国に入ることは想像を絶するものがあっただろう
その意味では、同じ信仰を持つ外国人が観た時には違った感想を持つのかもしれない
スコセッシ監督も語っているが、映画にするには難しいテーマだったのではないだろうか





大統領選関連を一つだけ
昨日観た経済学者のインタビューで、マクロンにプログラムがないことが話題に出ていた
彼の意見は次のようなものだった

プログラムを出さないのは悪いことではない
早く出すといろいろな批判が出てくるからで、戦略としてはありだ
ただ、わたしを信頼して、という戦略はド・ゴールレベルの政治家でなければ難しいだろう
何もないマクロンをどれだけの人が信頼するだろうか
今のところ、彼は「理想的な政治家」を演じているように見える
例えば、ジスカール・デスタンが出てきた時ように
この経済学者は、マクロンはオランド大統領の後継者だと見ていた

決選投票についても語っていた
それによると、フィヨンが残った場合はフィヨン、マクロンの場合には分からないとしていた
一つには、国家の危機が起こった時の対応の問題がある
ル・ペンとフィヨンはその行動が予想できるが、マクロンは全く予測不能だと見ていた






2017年2月11日土曜日

出発点のハンモックを発見



2005年の2月のことだった
ブログ「フランスに揺られながら Dans le hamac de France」を初めて立ち上げた
フランス語は「フランスのハンモックの中で」という意味になる
こちらに来るまでの2年間ほどが綴られている
短い間ではあったが、その後の芽がすでにそこに播かれていたように感じる
嬉しいことに、それがトゥールで見つかった

本日は3回目のフランス語クール
流される語りは相変わらず速い
このクールが終わる頃には自分で変化を感じることができるようになるのだろうか
来週からエクスポゼが始まるようなお話であった

昨日、大使館からフラマンヴィルの原発で爆発があったとの連絡が入った
爆発は核施設外で起こったので、核汚染の心配はないとのこと
5人が煙に巻かれて軽い中毒症状を呈しているが、事故はすでに収まったと発表された

フランス大統領選だが、現在第2位につけているマクロン氏への批判が出されている
彼はマーケティング戦略とイメージだけで戦っていて、具体的なプログラムがないというのだ
彼を支持していると思われるセゴレーヌ・ロワイアルさんも同様の指摘をしている
マクロンサイドは、3月初めには10~12の「国家との約束」を発表する予定だとしている
また、マクロン氏はプレスを批判したフィヨン氏を批判している
自らをプレスから不可侵で、司法の上にあると考える政治家がいてはならないと語ったという







2017年2月9日木曜日

大統領選の現況



恒例となってしまった大統領選の現況である
ル・モンドがフィヨン氏の説明に9つの問題があると指摘している

1.ぺネロプさんの雇用を止めたのは、法律で協力者の公表が義務付けられる2か月前だった
  常に透明にしてきたと言ったが、妻の雇用については明らかにされていなかった

2.ぺネロプさんの雇用時期をテレビと会見とネットで変えている

3.ぺネロプさんの仕事の内容が曖昧である
  2007年の英紙とのインタビューでは、彼女の母国語で、助手として働いたことはないこと
  子供はわたしを母親としてしか見ていないこと、自分は「田舎者」であると語っている

4.ぺネロプさんの正確な報酬をぼかしている

5.ぺネロプさんの報酬は正当化されると言ったが、平均より高い理由が説明されていない

6.解約補償金はすでにネットで公表しているとしているが、数字に問題がある

7.ぺネロプさんはまだ自分の仕事を正当化していない

8.フィヨン氏が子供を雇った理由が1月26日のテレビと2月7日の会見で矛盾している
  最初は弁護士としての能力を買ったとしていたが、当時はまだ学生だった
  最初、息子はサルコジの政策に関わっていたとしたが、後にそれを否定している

9.フィヨン氏は2013年の不動産から一部を除いていた
  


最新の世論調査では、ル・ペン氏が相変わらずトップを走っている(faire la course en tête)

ル・ペン   26%
マクロン   23.5%
フィヨン   18%
アモン    15.5%
メランション 13%

昨日フィヨン氏を批判していたバイル氏が出た場合、5%程度獲得すると見られている
その場合、他の候補は0.5%から1.5%下がると予想されている

興味深いのは、決選投票の予想である
もしフィヨンが残った場合、56%対44%でフィヨン
マクロンが残った場合には63%対37%でマクロンの勝利と出ている

選挙までまだ2か月以上ある
どのような流れになるのか、できるだけ追っていきたい





2017年2月8日水曜日

9年という沈黙の時間



バルザシアン3日目
3つのプロジェを並行して進めるという考えだが、すでに疲れが出ている
いつまで続くのだろうか

それとは別に、このところ外の情報を映像で取り入れるという要素が加わっている
10年目にして初めてのことである
それは、9年という長い間、自らの中に留まり、そこで遊んでいたことになる
それは同時に哲学という領域に自らを留めることでもあった
抽象化すれば、沈黙と孤独の中にいたことになる
よくもそんなことをかくも長きに亘ってできたものだと改めて驚かざるを得ない
この時間は大きな影響を与えているはずだが、自分では分からない
残念ながら、10年前の状態を思い出すことができないからだ
こちらに来る前に関連領域の本を取り寄せて読んだことがある
しかし、どこが面白いのかという感じで、全く興味が湧かなかったことだけは覚えている
その点では変わってきたことは分るのだが、、


さて、大統領選である
当初から「ぺネロプゲート」という形容も見られた今回の事件
今日、カナル・アンシェネが新たな疑惑を出したようだ
ぺネロプさんには45000€の解雇補償金(indemnités de licenciement)も支払われていたという
フィヨン氏は地方紙に先日の会見とほぼ同じ内容のフランス国民に向けた手紙を発表した

ル・モンドには、別の議員の元助手の証言が出ている
ぺネロプさんも同議員に雇われていたが、一緒に働いたことはないと改めて確認した
ただ、別の形態で働いていたことを否定するものではないと続く
1月25日のカナル・アンシェネで同じ証言をした元助手は自分であることも確認した
また、2年間の給与が先日発表されたフィヨン氏のサイトにはないとル・モンドは指摘している

民主運動(MoDem)党首のフランソワ・バイル氏もフィヨン氏を新たに攻撃している
最高権力者の候補がこれほど金の影響下にあったことはない
利益とは離れたところにいなければならないはずだ
もう撤退しかないだろう

このような状況だが、以前からぺネロプさん自身がなぜ語らないのか?という疑問が出されていた
今回フィヨン氏を支持している共和党のナタリー・コシュースコ・モリゼさんのコメントが出ていた
彼女はぺネロプさんが直接話をした方がよいと考えている
ただ、ぺネロプさんは二重に苦しめられていると見ている
まず、彼女は控えめな性格なので、激しいメディア攻撃で相当に痛めつけられているのではないか
多くの人が彼女を形容するのに"discrète"という言葉を使っている
第二に、このような政治的な状況に対応する言葉を持っていない可能性がある
やりたいのにできないという苦しみがあるのではないかというのだ

いずれにしても、フィヨン氏にとっては苦しい選挙戦が続きそうである





話は変わって、先日トラムで見つけたものについて触れた

トラムでの発見 (2017.1.31)

改めて注意してみたところ、壊れて外れているものもあるが、確かに付いていた
ただ、前回見たものとは違うものであった
ひょっとすると車両によってすべて違うのかもしれない
さらに注目してみたい






政治と道徳



本日はバルザシアンの2日目という意識で過ごす
仕事の部分は何とかこなすことができた
今のところ、のんびりしている時間が長いのは致し方ないか

午後から用事があり、駅に行く
それはどこかに出発するという用事ではないので、違った意識で歩き回ることができる
売店にハイデッガー特集があったので、駅のカフェで少しだけ読む
何でもない時に、ここで時間を過ごすのも面白い


大統領選を一つのテーマとして見たり聴いたり読んだりするようになっている
外界への反応が少しだけ回復してきたように感じる
それまで全く闇の中だったフランスの政治的状況がぼんやりと見えてくるようだ

今日の新聞記事にフィヨン氏の昨日の会見について、疑義が出されている
昨日の記事には書かなかったが、ぺネロプさんの英紙によるインタビューについてである
デイリー・テレグラフの記者キム・ウィルシャーさん(現ガーディアン)との会話が先週TVビで流れた
その中で、ぺネロプさんは一度も助手だったことはないと語っていた
フィヨン氏は、これはコンテクストから抜き取られたもので、記者も驚いているなどと言っていた
さらに、妻は助手ではないというのは真実である
なぜなら、同僚としてやっていたからで、あの発言には問題はないとしていた
しかし、キムさんはTVに出ることで迷惑をかけるとは伝えたが、インタビューは事実で驚いていない
すでにパブリックドメインにあるものだとして、フィヨン氏の言い分を否定したとある

それから昨日テレビで流れたことになっているターブル・ロンドがあった
その中で、フィヨン氏は正直だと思うかという調査にウィと答えた人は20%、ノンが67%となっていた
討論に哲学者のアンドレ・コント・スポンヴィルさんが出ていた
彼の言い分は次のようなものであった

今回のことは民主主義にとって不幸な面もあった
まず、フィヨン氏が無実であるということを前提にしないで話が進んでいく
彼のプログラムについては語らない
問題は、法的、政治的、道徳的の3つのレベルに分かれていて、混同してはいけない
われわれが議論できる最も重要な点は政治的な問題である
どのようにして失業を減らすのかが問題なのである
道徳はこの問題を解決できない
道徳的な問題は第三者が言うべきことではなく、自分自身が判断すべきものである
フィヨン氏が金を愛しているとしても、それは誰でもそうかもしれない
そこで彼が悪いとどこで判断するのか
報酬の多寡にしても同じである
モンテーニュは、道徳的に問題があることを実行する時に二つの条件を挙げている
一つは、それしか解決法がないこと、もう一つは、それが個人ではなく公共のためであること

そのような一般論に持ちこむことには賛成しないという人もいた
フィヨン氏を認められないと考える人もいた
彼は政策実行のために国民に犠牲を求めているという
あのような状態で、国民が犠牲を払う気持ちになるのか
これは法的な問題ではない
感情的に受け入れられないという
家族に報酬を払って雇うということは昔は普通だった
ただ、彼は社会が変わっていることに気付いていなかった


今回の出来事はフランスより外国のプレスの方が厳しいようだ
フランスの政界としてはいつものことで、それほど驚くべきこととは見ていないようでもある
いずれにせよ、理性を徹底できるのか、感情が勝つのか
最後は国民の判断ということになる






2017年2月7日火曜日

バルザック的生活を始める?



新しい週が明けた
空に雲はあるものの明るい日となっている
今日から少しオーガナイズされた生活を試みることにした

午前中は久し振りに旧市街へ
2-3時間比較的集中してから帰ってきた
ちょっとバスに乗るだけで往復できるのは非常に便利である
この町に来るまではなかった感覚である

午後からはノルマを課すことにした「仕事」に当たることをやる
夜にはもう少し自由なプロジェに沈潜する予定である
時間の割り振りは違うが、規則正しいという意味でバルザック的な生活がイメージされる
そう意識することが大事だろう
いつものように様子を見ることになる


ところで、大統領選のその後である
昨日はフィヨン以外は活動していたようだ
新聞には、dos au mur (崖っぷち)とかjouer va-tout(一か八かの博打をする)の言葉が見えた
彼がjeter l'éponge(タオルを投げる)かどうかではなく、それがいつなのかが問題だともあった
その判断が遅くなると後継者の選考や運動に問題が出るからだろう

ル・ペンのメインのスローガンは二つ
経済的グローバリゼーションとイスラム原理主義に反対すること
演説は攻撃的で分かりやすい
大統領としてもおかしくない雰囲気が漂っている

左翼党のメランションは名演説家の誉れが高く、今の政治家では一番だという人もいる
こちらも攻撃的で、聴いている人を奮い立たせるところがある
昨日はホログラムでステージに現れた
そう言えば、先日のアンボワーズでもホログラムのダ・ヴィンチを見ることができた

今日は午後4時からフィヨンの記者会見があり、以下のことを述べていた

自分の行為には法に触れることはなく、すべて合法である
すべての資料はサイトに載せた
ぺネロプさんの給料は月3600€程度で全く問題ない
今は家族を助手として雇うことは国民に受け入れられない
その点で間違いを犯したことには陳謝したい
右派の候補がル・ペンとマクロンでよいのか
このクーデターを起こしたのは、まともな右派候補がいなくなることで利益を得る人たちではないか
その意味で、自分の立場は重要になる
今から新たな選挙戦を再開したい

ここ10日ほどのマスコミの攻撃で相当参ったようである
しかし、今日はしっかり対応できていたのではないだろうか
この会見を観て、フランス国民がどう判断するのかがこれからの焦点になるのだろう




2017年2月5日日曜日

音楽家との週末



今日は久し振りに朝から青い空が見え、気持ちの良い週末になっている
youtubeを適当に選ぶと、暫くしてフルトヴェングラーの考えが流れてきた
1950年代に科学時代の音楽と芸術について論じたもののようであった
それからリヒテルの人生と演奏が延々と流れていた
若い時から縛られるのが嫌で、音楽家の家に育ったが、独自にピアノを始めたとのこと
バッハやショパン、ムソルグスキーの「展覧会の絵」などが聞えた

それを聴いている時、もう30年ほど前、マンハッタンの一番街に住んでいた時のことが蘇ってきた
週末、同じ階の部屋から大きな音でオペラがよく流れてきた
そこの住人は光るような白髪の老紳士で、一人住まいと思われた
今朝、ボリュームをやや大きめにしていたからだろうか
記憶を刺激したようだ
静かな環境にいると、頭の中のいろいろなところを散歩できる
形容し難い悦びになっている


Glenn Gould on Sviatoslav Richter







外の世界は忙しい



今朝も曇りで時々雨
風も強い
雲も西から東に速く流れている

午後になり青空が見え始め、向かいのグラウンドの緑が鮮やかになった
よく手入れされている証拠だろう
冬に見る緑は気持ちを昂らせてくれる

今日もプロジェを坦々と進め、小さな区切りを終えることができた
午後はゆっくりして、仏大統領選挙を覗く
一昨日のパリ・マッチの世論調査によると、以下のようになっている

マリーヌ・ル・ペン(国民戦線:46歳)       25%
エマニュエル・マクロン(独立系:39歳)     20.5%
フランソワ・フィヨン(共和党:62歳)       18.5%
ブノワ・アモン(社会党:49歳)          16.5%
ジャン・リュック・メランション(左翼党:65歳)  10%

フィヨンは数週間前はル・ペンに続き、僅差の2位だった
ここ3日だけで3ポイント落ちているという
週明けにどのような動きがあるのだろうか

とにかく外の世界に目をやると忙しい
そうしなくてもほとんど何の問題もなく過ごすことができることは証明済みなのだが、、





2017年2月4日土曜日

今日の収穫は、ザーズの 「パリの空の下」



今日も朝から曇天で、時折雨
籠ってプロジェに当たる
午後から二回目になるフランス語のクールに小雨の中出掛ける

今日は新しい人が4-5人加わって、何曲かシャンソンを聴いてのクールであった
重要な言葉や難しい言葉を聞き取ったり、曲の印象を述べたり、ストーリーの流れを追ったり
聞き取りが難しいものになっている
長い間のツケだろう

その中の一曲に「パリの空の下」があった
歌っていたのがトゥール出身のザーズ(ZAZ)という初めての歌手
正確には、トゥールの南にあるシャンブレー・レ・トゥールChambray-lès-Tours)の生まれ
それがこれまで聴いたものとは全く違い、なかなかの雰囲気を出していて、すぐに気に入る

  Sous le ciel de Paris

歌詞の中に「哲学者」が出てくることも今回初めて気が付いた
それから、この曲を聴いたことがないという学生が結構いたのには驚いた
それほど違う時代を生きている人たちと席を同じくしていることになる

もう少し聴いてみることにしたい

  La Vie en Rose
  Si jamais j'oublie
  Zaz à Montmartre : Les passants
  Champs Elysées


大学からの帰りは強風と雨に中られた
アパルトマンに落ち着くと、西から東に速く流れる雲の間に明るい空と太陽が見えてきた
いつものパターンであった




2017年2月3日金曜日

合間にフランス大統領選

     アンボワーズ城 (Château d'Amboise)


本日は終日どんよりと曇っていて、昨日よりも寒い
ということで、籠ることになった
プロジェの合間に現実世界をネットの映像から覗いてみた
フランスの大統領選のその後である
これまでにはなかった今年の特徴である


前回覗いたのは1月18日だったが、最近大きく揺れているようだ
右派・中道の候補、共和党フランソワ・フィヨンにスキャンダルが持ち上がっている
すべてはカナール・アンシェネの記事に始まったようだ
妻や二人の子供を助手として雇い多額の金を払っていたが、実態はあったのかという疑惑である
助手として雇ったことになっている子供はまだ学生であった

フィヨンの側は、陰謀とか制度の中でのクーデターなどと言っている
以前から知られていたことが、なぜ今なのかという疑問を持っているようだ
結論を出すまで2週間待ってくれということらしい
すでに調査が始まっている
国民の四分の三はフィヨンの説明を信じていないようだ
あるジャーナリストによれば、誰にでも分かる疑惑ということになる
それが反映されているのか、多くの人が難しい状況にあると見ている
それでも彼は最後まで戦うと言っている

国民戦線のマリーヌ・ル・ペンの反応は明快だ
これはフィヨンが法に則ってやっていたのかどうかの問題ではない
彼が本当はどんな人間なのか、イメージとは違い金を愛する人間なのかという問題だと言う
それによって彼が国民の信頼を失うのかどうかの問題だと言うのである
彼女の語りは細かい言葉遣いに拘ることなく、問題の中心に力強く執拗に迫っていくところがある
長い活動のためだろうか、テレビの方を食っているような印象さえある
その点では確かにトランプ的な要素を持っているようにも見える

背後に意志的な力が働いているのかどうか、今は分からない
しかし、現状ではフィヨンがこのまま行ってたとえ大統領になったとしても厳しいものになるだろう
彼が選挙戦を続けるのか、撤退するのか
撤退した時には誰がその後を継ぐのか
そうなると、マリーヌ・ル・ペンとエマニュエル・マクロンの争いになるのだろうか
予想通り、先が見えない選挙になりそうだ


夜、再び戻ると、新しいニュースがあった
2007年の英紙とのインタビューで、妻のぺネロプさんは仕事には関わったことはないと言っている
これは un coup de grâce (= un coup fatal)「止めの一撃」だというジャーナリストもいた
今回支持したニースの人の反応も「落胆した」が多くなっている
さらに厳しい状況になってきたようである





2017年2月2日木曜日

朝の時間の使い方

  時計塔(Tour de l'Horloge)@Amboise


今日も朝の内は曇り、時々小雨の状態だったが、午後には明るくなってきた
冷え込みも少ない
朝から始める気にならず、ぼんやりしていた
朝の新鮮で自由な空間と時間を他人のものを読んで過ごす気にはならず
自らの思索の中で遊んでいた
遊んでいたとは言うものの、自分にとっては興味深いアイディアがいくつか浮かんできた
これは精神衛生に良いだけではなく、新しいものを運んで来てくれることがあるので重要でもある

そう言えば、ニーチェではなかったかと思う
朝の貴重な時間を読書になど使うのは愚の骨頂
どうして自分の頭で考えることに使わないのか、というようなことを言っていたような気がする
この助言はわたしの生理も合っている











2017年2月1日水曜日

トラムでの発見



今朝も小雨が降っていたが、午後から青空が見えてきた
一日籠っていると体が鈍ってくるので、外に出ることにした
今日は非常に暖かい
春はもうすぐか

旧市街のカフェに落ち着くも、やる気がなかなか湧いてこない
プレスで手に入れた雑誌に目を通す
そこに出ていた本を見るためにリブレリーへ
これまでに何度も書いていることを今日も感じる
パリでは客にぶつかってくるという感じがするが、こちらでは客を受け入れようとする姿勢がある
相手が壁からクッションに変わったような感じがする
それが気持ちを和らげてくれるのだろう

もう少しでこの町に半年となるが、初めて気付いたことがある
トラムに乗るとすぐに目に入るスタンションポールとでも言うのだろうか
これまで何度も掴んできたが、そこにこんな飾りがついているとは知らなかった
どれにでも付いているのだろうか
これから注意して見ることにしたい

こちらはまだ書いていないが、初日から気付いたことである
トラム内では駅の案内がある
その中の1~2か所で駅名を言った後、2秒程度の軽やかな歌声が流れるのである
鼻歌と言った方がよいだろうか
遊び心なのだろう
これは先週クラスで会った留学生も楽しんでいるようだった