日本に戻ってから知らない間に1年が経過したことになる
これまでの時間を振り返ると、何とも不思議な気持ちになる
この状態はこれまでの日常と明らかに異なっているはずなのだが、それをうまく表現できないのだ
この時間がいつまで続くのかは分からないが、それが終わった時には何かが見えてくるかもしれない
そして今朝、この状態が当分続くのではないかということを予感させるニュースが届いた
昨夜、カステックス首相らが記者会見を行い、今後の新型コロナウイルス対策について説明したようだ
感染は急速に広がり、前回、陽性者の60%くらいだった英国変異株が75%に増加している
いつものように、大使館のまとめを以下に貼り付けておきたい
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1 感染状況
・2週間前、感染がぶり返す徴候が見え懸念していたが、今日、感染拡大のスピードが速まっている。昨日1日だけで約3万件超、今日は約3万5,000件の感染者が出ており、先週に比して1週間で23.6%も感染者が増加しており、死亡者は10万人という耐えがたい数値となっている。
・感染拡大の第3波がやって来ていることがよりはっきりしている。感染力の強い英国変異株により、現在、陽性者の4分の3が英国変異株の感染者である。
・蘇生病床も逼迫しており、現在、4,291人が入院している。1日に330人の重症者が発生し、これは4分に1人の重症者が出ていることになる。
・蘇生病床には、より若くかつ健康であっても長く入院する傾向が見受けられる。
・これまでも18時からの夜間外出制限等あらゆる施策を実施してきた。週末の外出制限を2月25日からダンケルク及びニース、3月6日からパドカレで実施しているが、外出制限導入は、10万人あたりの感染者が400人、蘇生病床の逼迫具合、感染拡大の規模が考慮される。
・感染拡大の状況は地域ごとに異なり、全国一律の措置を導入するのは意義が見受けられない。
・現在、イル・ド・フランス及びオー・ド・フランスの2地域圏が外出制限を導入すべき水準を超えている又は超えそうな状況となっている。
・イル・ド・フランスでは、10万人あたりの感染者が446人となり、1週間で23%の感染者増が見られた。病床は逼迫し、イル・ド・フランスでは現在1,200人以上が蘇生病床に入院し、これは昨年11月の第2波のピークと同じ水準に達している。医療従事者の尽力により、追加的に300~500人の患者を収容することが可能である。
・オー・ド・フランスでは、10万人あたりの感染者は381人であり、10万人あたり400人の水準には達していないものの、まもなくこの水準に達するであろうと見込まれる。同地域圏においては、病床の逼迫が大変懸念され、イル・ド・フランスでの状況と同じように、第2波のピークを超えている状況である。
・同様に、セーヌ・マリティム県においては、10万人あたりの感染者数は前述の水準までには達していないものの、感染拡大が急速に進んでおり、蘇生病床はすでに満床となっている。
・週末の外出制限が導入されているアルプ・マリティム県、パドカレ県では、効果は芳しくない。
2 規制措置
・イル・ド・フランスの8県、オー・ド・フランスの5県、アルプ・マリティム県、セーヌ・マリティム県、ウール県の計16県について新たな規制措置を導入する。導入される規制措置は、実践的で状況に応じかつ地域に即したものでなければならない。
・対象の16県では、3月19日(金)夜24時より4週間、外出制限が導入される。
・対象の16の県では、学校は引き続き開かれる。幼稚園、小学校、中学校まではこれまで通り通学できる。高校については、現在3分の2の以上の学校が半数登校を実施しているが、対象の県で完全な半数登校を実施する。大学については、現状のとおり授業が継続される。
・児童・生徒が行うスポーツ活動については、基準が緩和され、学内でのスポーツ活動は通常通り実施される。課外活動については、屋外でのスポーツ活動はこれまでどおり実施できる。
・宗教施設及びレストランに対する規制に変更は無い。
・商業施設について、昨年3月及び11月の外出制限の際と同様に、生活必需品を扱う商店は開店できる。生活必需品の範囲は、本及び音楽まで拡大され、本屋及びレコード店は開店できる。本や音楽関連商品を扱う大型商業施設については、感染拡大防止の観点からこれまでの閉鎖の措置が継続される。
・住居からの外出について、新鮮な空気を吸う、散歩、運動のための外出はより緩和された措置が適用され、証明書を所持すれば時間は無制限、距離は住居から10キロ以内で移動が可能である。屋外での感染リスクは、屋内でマスク無しでの集合よりも断然低い。
・地域圏を超える移動は禁止される。移動が可能となるのは、職務遂行の必要がありかつ証明書を所持している場合である。
・夜間外出禁止について、今週末の20日(土)から、開始時間が18時から19時に繰り下げられる。これは、まもなく始まる夏時間を考慮したものである。この緩和により、より長く外出が可能となるが、距離を取らず、マスクもしない友人宅のパーティーに行くことを目的としたものではない。屋外公共空間での活動等の規制は、今後各知事より発表される。
・職場での感染について、パストゥール研究所によると、感染の29%が職場での感染である。すべての企業及び行政は、実施可能な場合、従業員が希望する場合は週1日の職場への出勤を可能にしつつも、最大限テレワークを導入しなければならない。すなわち、少なくとも5日間のうち4日間はテレワークを行う必要がある。今日、多くの企業がこの目標には達していない。
・住居と職場間の移動について、パストゥール研究所によると、マスク着用が守られる公共交通機関の利用は、マスクを外す傾向にある自家用車の相乗りよりも感染リスクが低い。自家用車の相乗りの場合も予防措置を厳格に守るべきである。
・軽症であっても症状が出ている者は出勤してはならない。職場での感染の半数は出勤した軽症者からの感染である。
・職場で複数で食事を取ることも感染リスクを高める行為である。よって、労働大臣及び改革・公共部門大臣に対し、来週の初めまでに、企業の食堂に関する強化された衛生プロトコルを出すよう指示している。
3 ワクチン接種
・ワクチン接種は感染拡大を脱する望みである。すでに約560万人が第1回目の接種を終えた。高齢者施設に入所する高齢者はほぼ接種を終え、これは人口の1%に相当する。65歳以上の45%が第1回目の接種を終えている。ワクチン接種は病床の逼迫を緩和するのに有効である。
・15日(月)になされたアストラゼネカのワクチン接種を停止する決定により、ワクチン接種キャンペーンはやや遅れを取った。
・アストラゼネカのワクチンについては、先ほど欧州医薬品庁は、アストラゼネカのワクチンは重症化を防ぐ上で効果が認められるのみならず、安全である旨発表した。アストラゼネカのワクチンによる血栓及び副反応の発生は稀である。
・明日からアストラゼネカのワクチン接種を再開し、自分(カステックス首相)自身も明日午後にもアストラゼネカのワクチンを接種し、その様子を公開する。一般医、薬局におけるアストラゼネカのワクチン接種も明日午後より再開される。
・ワクチン接種については、4月中旬までに75歳以上の脆弱な人、50歳以上の慢性疾患を持つ人に当たる1,000万人、5月中旬までに50歳以上の全員に当たる2,000万人、6月中旬までに18歳以上の3分の2の人口に当たる3,000万人のワクチン接種を目標としている。
・65歳以上で慢性疾患の無い者は、4月中旬からワクチン接種が可能となる。50歳以上の者については5月中旬から接種が可能。
・4月中旬からは、欧州及び仏で認可されたジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチン接種が開始される予定であり、ワクチン接種のスピードが上がる。
4 治療
・症状のある者、濃厚接触者は、検査の結果を待たずに自己隔離を行い、周囲の者に知らせて欲しい。
・酸欠など症状が重いにもかかわらず自宅に留まる者がいるが、訪問看護師の利用が可能であり、自宅での酸素吸入も可能である。
・特に慢性疾患を持つ者、70歳以上の高齢者については、モノクローナル抗体等の服用により、重症化を防ぐことができ、該当する者は全国の病院で治療が可能。
・味覚・嗅覚の消失、倦怠感といった症状が長く続く場合はかかりつけ医に相談して欲しい。症状に応じて精神科医や整形外科医、服用による治療を受けることができる。
5 結語
・欧州は変異株の感染拡大により困難な状況に直面している。
・仏は、実践的で状況に応じかつ地域に即した措置を導入して対応していく。今、もう一度第3波という困難に直面しなければならない。
・これまでと異なるのは、ワクチン接種の展望があること。ワクチン接種により状況は変わっていく。