2020年11月15日日曜日

「科学の形而上学化」とは何であったのか

 















昨日、新しいエッセイを紹介した

  Yakura, H. Immunity in light of Spinoza and CanguilhemPhilosophies 5: , 2020


このエッセイでは「科学の形而上学化」を改めて定義してから省察を始めている

新しい定義では、これまでの思索を振り返り、3段階から成るとした

第1段階では、ある現象について科学が明らかにしたことを集め、そこから最少あるいは基本的な特徴を抽出する 

第2段階では、それらの特徴から考えられる哲学的・形而上学的な概念を探し、そこから再び科学の成果を考え直す

つまり、科学的論理と形而上学的省察を組み合わせることである

これは同時に、科学と哲学のあるべき関係についてのわたしなりの回答として捉えることもできる


このような思考は、科学の領域に限らず、あらゆる「もの・こと」を考える際に有効になると考えている 

現在の社会を取り巻く惨憺たる状況は、この認識がないことが大きな理由ではないかと想像している

そのため、この思考の重要性を科学や哲学を超えて認識することが不可欠になる

そこで第3段階として加えたのが、この認識の重要性を広く伝えることである 

すぐに思いつくのは、個々の形而上学化の成果を発表し、その重要性を社会の広い層と共に語り考えることなどである

そのやり方には各自の工夫や創造性が求められるだろう


改めて定義した中身を見直すと、ここ10年来わたしが実践してきたことと重なることが見えてくる

期せずして、理論と実践が噛み合った歩みをしていたことになる

別物だと思っていた「科学の形而上学化」が、実はわたしの「生き方としての哲学」と通底していたのである 

これは驚きの発見であった 


実践から見れば、サイファイ研ISHEの活動に参加された皆様との共同作業だったとも言えるだろう

これまで催し物に参加された皆様に改めて感謝したい

今回、英語で公表したことにより、この過程から生まれた成果が広く議論される切っ掛けになれば望外の喜びである

そして、今後ともサイファイ研の活動にご理解、ご協力をいただければ幸いである






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