2020年1月2日木曜日

吸収の10年から解読の10年へ



元旦の昨日は霧こそ出ていなかったが、終日しとしと雨が降っていた
昨日書いたように、2010年代を振り返る余裕はまだない
ただ、2007年にフランスに渡ってからの10年ほどとそれ以降には大きな変化があることに気付いている

大学院を正式に終えたのは2016年で9年に亘る学生生活であった
その間は外の世界に身を晒し、只管吸収する時間だったように見える
これは意識してそうしたというより、この存在の内から自然に湧き上がる不思議な力によるものだった
それは生まれて初めての経験で、止めようとしても止められなかったのである
おそらく、異文化と異分野になるフランスと哲学がわたしを大きく包んでいたからではないだろうか

そして学生生活が終りを迎えるあたりから、吸収したものを解きほぐしたいという欲求が生まれてきた
具体的な形として外に出すということである
これはそれまでしようと思ってもできなかったことだった
外に向かう欲求が内に向かう集中を圧倒していたからだと想像している

最初の試みは2018年に翻訳という形となり、その翌年の2019年にも続いた
これらは自ら意図したことではなく、そのような流れに導かれたからである
それから2018~2019年にかけては、自分の考えを論文にして問うということを初めてやってみた
この経験はこれからも折に触れて試してみたいと思わせてくれるほど、多くのものを齎してくれた

そしてフランス生活13年目に入った今年は、一体どんなものが出てくるのだろうか
気が散りやすい性分としては予想もできない
ただ、これまでよりも深いところに沈むことができる集中が生まれているのを感じている
それを頼りに進むしかなさそうである







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