2020年1月31日金曜日

実在論と反実在論(1)



今日からは、実在論(Réalisme)と反実在論(Anti-réalisme)がテーマとなる
まず、「形而上学的目覚め」と題された一節から

この世界に目をやると、そこには自然のものがあり、人工のものがあり、人間がいる
仕事場があり、出来事がある
やらなければならない義務があり、価値がある
しかし、これらは本当に存在しているのだろうか

この世界という時、それはわたしの世界であり、あなたはそこに入ることができない
その逆もまた言える
わたしの精神と世界は一つのものであると言った場合、世界は精神の外には存在しないことになる
これは観念論の世界である
わたしの精神に表れたもの以外には何も存在しないとなると、独我論の世界である

これらは形而上学の世界である
哲学者は存在の問題に興味を持つが、我々の精神や言語や概念から独立した実在には興味を示さない
デカルト以来の近代哲学においてこの興味が先鋭化し、現代哲学では我々を追い詰めている

第二次大戦後、ポーランドの哲学者ローマン・インガルデンは『世界の存在をめぐる論争』を出した
世界の存在を自問するというのは不可思議なことではないか
そもそも論争など存在しない問題ではないのか
しかし、哲学は未だにその答えを持っていないのである

我々の精神や言語や概念とは独立に世界が存在しているかという論争は、実在論と反実在論の問題である
それは同時に現代哲学の中心的な問題なのである
ハイデッガーは哲学にとってのスキャンダルについて、こう言っている
それはこの問いに満足のいく回答を出していないことではなく、その問いに向き合ってさえいないことである

しかし、このようなどこにも辿り着きそうにない問いに向き合うことに、一体意味はあるのだろうか


(つづく)







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