2020年1月28日火曜日
哲学と哲学史(4)
本日の話題はジャンル(A)の理性的な再構成で、哲学史を逆に辿るというお話になる
(A)のやり方を採る者は、過去の哲学者を理解するためには現代の問題から出発する必要があると主張する
アンソニー・ケニーによれば、ウィトゲンシュタインは中世のトマス・アクィナスの理解に影響を及ぼした
ウィトゲンシュタインは、内省により我々の心的内容に到達できるとする現代哲学の考えを批判した
ここで言う内省とは、内にある我々の信念、考え、感情、意志などを想像することである
目には見えない「もの」が精神の中にあり、それを掴むというイメージだろうか
ウィトゲンシュタインはそれとは異なり、我々には心的で感覚的で知的な能力を持つと考えた
精神を能力として捉えたのだろう
しかしそれは、我々の中に私というエゴがあり、それが信じ、考え、感情や意志を持つことを意味しない
彼は心身二元論も唯物論や物理主義も強く拒否した
精神は能力の総体であり、心的状態が集まる場ではないとする彼の考えがトマスの魂の哲学の理解を可能にした
ケニーによれば、デカルトの二元論の哲学が能力として精神を見るトマスの哲学を受け入れ難いものにした
その意味で、ウィトゲンシュタインを読むことはトマスの哲学理解の準備になるだろう
また、トマスの哲学の中に現代哲学の問題解決のヒントが見えてくることがあるという
(つづく)
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