昨年秋に開催された不染鉄(1891-1976)の回顧展の画集が奈良県立美術館から届いた
早速、気になった海の絵を探してみた
ところが見つからない
・・と思ったが、おそらく絵葉書なのだろう、後ろの方にまとめられていた
『海底閑居之図』(1968)
不染77歳なので、晩年の作品
彼が辿り着いた境地を表していると言ってもよいのだろうか
添えられている文字が小さいので、読むのに一苦労
右横にタイトルがあり、左横に「私はお魚か」とある
適宜、書き出してみたい
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『海底閑居之図』(1968)
『没後40年 幻の画家 不染鉄』より
『没後40年 幻の画家 不染鉄』より
此世は楽しい 何を見ても面白い 心が親切なれば 自然の方でも 私に親切だねぇ
自然と私とは別のものではない 自然即私だ ・・・
深海に住む魚のように 静に自分の心を見つめて
眞実とは何だ 倖せとは何だ 人生とは何だ 色々よく考へ かみしめよう
そしてさ 時々 此世へ 浮き上がり 人情の風にあたり ごちそうをたべ
そして深い深い海底へ沈んで
又 静寂の世界だ いいなぁ
普段は海の底に沈み、自省し、哲学せよ
その静寂の世界は何と素晴らしいことか、と言っている
そして、時には海の上に出て、人に触れ、うまいものを食べ、そして再び海底に沈むそういう生活を理想としていたのだろうか
わたしのサイクルもこれと重なり、以下の記事に詳しい
不染の「海の底」がわたしの「フランス」で、不染の「此世」がわたしの「日本」と言えるだろう
周年ライフサイクル(2016.11.30)
一瞬の偶然で発見することになった不染との思わぬ繋がり
まさに油断ならない
発見が溢れている此世も捨てたものではない
『秋声』(1918)
『没後40年 幻の画家 不染鉄』より
もう一つ気付いたことがある
冒頭の方にある絵の屋根を見た時、10年前にオステンドで発見した画家のことを思い出した
ヴァレリウス・デ・サーデレールという画家 Valerius de Saedeleer(2008.12.28)
まだまだ発見はありそうだ
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