2018年5月26日土曜日

不染鉄の画集、届く

  『没後40年 幻の画家 不染鉄』より


昨年秋に開催された不染鉄(1891-1976)の回顧展の画集が奈良県立美術館から届いた
早速、気になった海の絵を探してみた
ところが見つからない
・・と思ったが、おそらく絵葉書なのだろう、後ろの方にまとめられていた

『海底閑居之図』(1968)
不染77歳なので、晩年の作品
彼が辿り着いた境地を表していると言ってもよいのだろうか
添えられている文字が小さいので、読むのに一苦労

右横にタイトルがあり、左横に「私はお魚か」とある
適宜、書き出してみたい



    『海底閑居之図』(1968)
  『没後40年 幻の画家 不染鉄』より

此世は楽しい 何を見ても面白い 心が親切なれば 自然の方でも 私に親切だねぇ
自然と私とは別のものではない 自然即私だ ・・・
深海に住む魚のように 静に自分の心を見つめて
眞実とは何だ  倖せとは何だ 人生とは何だ 色々よく考へ かみしめよう
そしてさ 時々 此世へ 浮き上がり 人情の風にあたり ごちそうをたべ
そして深い深い海底へ沈んで
又 静寂の世界だ いいなぁ

普段は海の底に沈み、自省し、哲学せよ
その静寂の世界は何と素晴らしいことか、と言っている
そして、時には海の上に出て、人に触れ、うまいものを食べ、そして再び海底に沈む
そういう生活を理想としていたのだろうか

わたしのサイクルもこれと重なり、以下の記事に詳しい
不染の「海の底」がわたしの「フランス」で、不染の「此世」がわたしの「日本」と言えるだろう

  周年ライフサイクル(2016.11.30)

一瞬の偶然で発見することになった不染との思わぬ繋がり
まさに油断ならない
発見が溢れている此世も捨てたものではない


     『秋声(1918)
  『没後40年 幻の画家 不染鉄』より


もう一つ気付いたことがある
冒頭の方にある絵の屋根を見た時、10年前にオステンドで発見した画家のことを思い出した

  ヴァレリウス・デ・サーデレールという画家 Valerius de Saedeleer(2008.12.28)

まだまだ発見はありそうだ





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