ハンス・ヨナスがダーウィン主義の哲学的側面について書いているエッセイがある
ダーウィンがどんな哲学を持っていたのかというよりは、進化論が齎した考え方の変化についてのものだ
まだ途中だが、その中に次のような言葉があった
進化論はプラトン主義に抗するものであり、唯名論の実在論に対する勝利であった
中世の普遍論争において、普遍的な概念、形相は実在するのか否かが争われた
その問いに対して、実在論者はイエスと答え、唯名論者は存在するのは具体的な個別のものであるとした
そして進化論もこの問いに大きな影響を与えたというのである
その結果、プラトンが唱えた形相・イデアという非物理的なものは存在せず、存在するのは物理的なものであるとされた
唯名論の勝利は、本質についての問いを外に置き、どのように「もの・こと」が動いているのかを問う方向に導いた
現代の科学が本質についての問いを出さず、メカニズムの分析に精を出すようになった理由がここにある
このような見方は今では一般的だと想像している
しかし、歴史的な背景を理解していなければ、何も考えずにそれが科学の進む道であると錯覚することになる
形而上学の領域に入るだろうが、科学が本質について問うことを止める必要はないという考えだって成り立つ
思想史の側面から科学を見直すと、こういう考え方だって生まれる余地がある
ずっと広い世界が先に見えてくるように感じる
普遍論争の言葉で表現すれば、わたしは唯名論だけではダメだと考えている普遍実在論者ということになりそうである
それは「科学の形而上学化」の精神の別の表現とも言えるものである
実在論と反実在論についてのかなり詳しい議論は、昨年プイヴェさんの『現代哲学』を読んだ時にも出てきていた
何のために読んでいるのか分からなかったのだが、こんな繋がりも生まれる可能性がある
何事も無駄ではないということか
暇になったら読んでみたい
実在論と反実在論(2020.1.30-2.6)
実在論の擁護(2020.2.7-17)
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