2019年12月27日金曜日

映画 "Une vie cachée" を観る



昨日の朝は、パンテオンが見えるカフェから始まった
少しだけ肌寒く、小雨交じりになる
このような時期、プロジェから離れて思いのままに思考を羽ばたかせるのもよい

午後から、テレンス・マリック(1943- )監督の Une vie cachéeA Hidden Life)を観る
初めての監督だが、哲学に造詣が深いとのことで興味を惹かれる
2011年の The Tree of Life のトレーラーを観たが、もう少し調べてみたいと思わせてくれた

映画を観た感想を思いつくまま
まず、画面のすべてをしっかり捉えているという感覚があった
それはそのすべてを既に観ているという感覚から生まれているように感じていた
兎に角、山岳地帯の景色が雄大で美しく、生活も伸びやかなので気持ちが広がる
そして、カットとカットの間が厳密ではなく、景色が変わるところに自由を感じた

主人公のフランツは自分が悪だと思うことはできないという内なる声に従い、死の判決に従う
それにより親や妻や子供たちに辛い思いをさせることになることを知っていても
もう少し待てば普通の生活(simple life)が戻ってくるかもしれないというのに
simpleという言葉の意味を思い知らせてくれる

本人以外には理解するのが難しい判断である
妻はいつの日か、そのことの意味が分かる日が来るのかと問う
結局のところ、人はなぜ生きるのかという問いに行き着くのではないだろうか

タイトルの由来となったジョージ・エリオットの詩がエンディングに出てきた
“The growing good of the world is partly dependent on unhistoric acts; and that things are not so ill with you and me as they might have been, is half owing to the number who lived faithfully a hidden life, and rest in unvisited tombs.”
世界の善が増えているのは、一部ではあるが歴史に表れない行為に依っている。事が我々にとってそれほど酷いものにならない訳の半分は、目立たない人生を忠実に送り、誰も訪れない墓に眠る人たちのお陰なのである。
そのことを折々に思い出し、確かめる必要があるのだろう

日本では来年2月から「名もなき生涯」というタイトルで公開されるという













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