現存する断片の中でパルメニデスは、思考には「真実の道」と「思惑の道」という2つの道があるとしている
思惑の中に真実はまったく含まれず、思惑は全き誤謬である
真実は純粋な思考によって到達されるべきで、思惑の蓋然性を一顧だにしない
これは方法論的あるいは認識論的な超越論とでも言うべきもので、思惑の道を超越する道として語られている
さらに、存在するものは1つで永遠でなければならず、他のものが存在することは不可能であるとする
ここで言う存在する1つのものとは、物理的、物質的な世界のことである
つまり、世界は連続的、同質的、不可分なる充実体(plenum)で、そこには運動はあり得ない
これこそ真に実在する世界であり、我々が明晰に思考する時にのみ知ることができる叡智の世界なのである
それに対して、変化と運動の世界、生成と消滅の世界、すなわち感覚的世界は思惑の世界で、真の実在ではない
この2つの思考法は、プラトンの超越性を強調する対話篇(特に『国家』)にも見ることができる
つまり、殆どの人が認識していると思っていることは、実は感覚的世界によって欺かれたものであり、真の実在は感覚的でしかも叡智的な対象であるという確信を見出すのである
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