イオニア学派は、世界を均質の始原的物質における局部的分化であり、そこで構成されるものは世界を取り巻いていると考えた
タレス(c.624 BC-c.546)は、始原物質と神を区別したが、彼の後継者は両者を同一視した
もし始原物質が斉一なものだとすれば、なぜ他のところではなく、ここに世界が現れたのかの説明が必要になる
それは神によって選択されたのだとしても、その理由が求められる
そこに適切な理由がないとすれば、世界の生成は説明できないというのではなく、イオニアの自然学が間違っていたと言わざるを得ない
つまり、ヨーロッパの自然科学の最初の試みは偉大なものではあったが、失敗に終わったのである
科学の歴史とは、事実の進歩的積み重ねというより、問題の進歩的な明確化である
従って、科学者は自然に関する事実の知識ではなく、自然について解答可能な問題を立てる能力が求められる
イオニアの自然学者は問題の立て方を間違い、解答不能な問いを立ててしまったのである
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