C)アナクシメネス(585 BC-525 BC)
大地は周囲を取り巻く媒体の密度に支えられて浮かんでおり、それは同時に大地を構成していると考えた
師と同様、これは世界に無限に延長している大きさを持つが、量において無規定とは認めなかった
そしてタレスに戻り、それを一つの自然物と同一視したが、水ではなく、大気(アエール)であるとした
そして、その根源から産み出される様々な自然物は、空気の希薄化、濃縮化の程度によると考えた
例えば、空気が希薄化して火となり、濃縮化して風、雲、水、地、石などになる
彼は師に倣い、始原的実体を神的なものとし、タレスの超越的な神ではなく、内在的な神を想定した
アナクシメネスの場合、神的な空気は世界を構成するばかりではなく、世界を周りから包み密着する包皮のようなものでもあった
これも師と同様、世界の複数性を信じ、それぞれの世界を神と呼んだ
ただ、これらの世界が同時に存在するのではなく、時間的に異なって存在するものであった
このように、アナクシメネスは師の考えと大きく違うものを提示したようには見えない
アナクシマンドロスは、一つの根源的物質からどのようにが様々な様態が生まれるのかという問いに向き合っていた
しかし、その解を得たとは思えない
アナクシメネスは、この問題にアリストテレス(384 BC-322 BC)が「中間項」と呼んだものを提示することにより前進させたとは言えるのではないか
それが上記の希薄化と濃縮化という過程で、それが多様なものを産み出すメカニズムだと考えたのある
このことは、彼の興味が始原的実体の唯一性から様々な自然物の多様性へと移ったこと、すなわちイオニア学派の一員であることを止めたとコリングウッド(1889^1943)は考えている
なぜ多様な自然物が異なる様態で存在するのかという問いは、むしろピタゴラス的自然学に近いという
つまり、アナクシメネスはイオニア学派とピタゴラス学派を結ぶところにいることになる
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