2020年4月1日水曜日

現象学とは(5)




フッサールにより導入され、現象学者が発展させた根源的なテーマの一つは、「生活世界」(Lebenswelt)である
現象学の務めの一つは、科学とすべての人間的活動が生活世界からその意味をどのように引出すのかを示すことである
人間的活動の中には、芸術、宗教、文化的・身体的実践などが含まれる
生活世界の根本的な構造を記述し解析するのが、現象学本来の不可欠な仕事である

今日の、特にフランスにおける現象学とは何かをよく理解するために、三つのコメントが役立つだろう

(1)分析哲学と現象学の対立は明白である

ただ、分裂の起源に立ち還り、その妥当性及び分裂を乗り越える可能性を自問しようとしてもよいだろう
ブレンターノが現象学と同時に、分析哲学のある局面の源にいることに注意しよう
しかし、元々の親近性が100年以上前に形成された方法論的溝にあるものが何であれ、どの点で変わったのか見えない

現象学者と認知主義哲学者の対話が可能であるということは、認知科学の特定の理論について何かを語っている
しかしそれは、分析哲学と現象学の間に和解が進行中であることを意味しない
哲学的統合運動は多元的で包括的に見えるという点で好感が持てる姿勢である
今日において、この二つの姿勢は一般的に推奨されることでもあるからである

しかし、適用される哲学的テーゼと方法には疑義を呈しながらも、人間を完全に尊重することができる哲学
そこにおいては、二つの間の融和が広がることを望むことは、おそらく不可欠ではないだろう


(つづく)









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