2020年7月16日木曜日

COVID-19、ウイルスの存在と病変の乖離




今日目に付いたCOVID-19関連の情報を書き留めておきたい
まだ雑誌に受理されていな論文だが、亡くなった患者さんの剖検後の研究になる
結論から言えば、ウイルスの存在(RNAと蛋白で確認)と病変(組織の損傷)とは相関していない

以下にその内容を簡単にまとめておきたい

対象はCOVID-19で亡くなった11人の患者さん
ウイルス(SARS-CoV-2)は呼吸器に多く検出されるが、他の臓器(腸管、心臓、筋肉、肝臓、腎臓など)にも見られる
しかし、肺以外の病変は軽微で、強い炎症性変化は肺と細網内皮系に限られていた
肺以外の臓器ではSARS-CoV-2に対する耐病性(disease tolerance)があると想定される

肺の病変は、肺胞の障害、血栓形成、血管炎などが見られ、直接の死因は肺の炎症と考えられる
肺内においても、ウイルスが存在する部位と病変部とは一致していない
肺の実質にはマクロファージ、単球、T細胞が浸潤し、骨髄では形質細胞が増えている
形質細胞はリンパ節、脾臓、肺でも増加している

肺の病変はウイルスを排除すべく反応しているというよりは、免疫反応の制御が乱れた結果だと考察している
重症例にステロイド系抗炎症薬のデキサメタゾンが有効だというのもよく理解できる結果である






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