2022年7月20日水曜日

ゲーテの言葉から(26)、そしてパスツール生誕200年記念シンポジウム























今日はズーム会議から始まった

今年はパスツール(1822-1895)生誕に200年に当たる

この機会に、日本パスツール財団(FPJ)が記念の会を計画されており、そのための具体的な相談があった

記念シンポジウムは11月17日(木)午後の予定で、セミナーと座談会の二本立てになるようだ

詳細が決まり次第、改めてアナウンスしたい


さて、今日もゲーテ(1749-1832)である

1829.4.11(土)

「ろくろく才能もないのに、音楽に打ちこんでも、その人はむろん巨匠にはなれる筈がないが、巨匠の作ったものを知り、評価するようにはなるだろうね。私もさんざん努力をしてみたものの、画家にはなれなかった。けれども、あらゆる美術の部門を探索してみたおかげで、一本一本の線を説明できるようになり、ほめるべき点と不満な点を区別できるようになった。これは、けっして小さな収穫とはいえない。じっさい、誤った傾向といっても、何ら得るところがないなどということはめったにないことだ。同様に、たとえば、聖地解放を目指した十字軍は、明らかに誤った傾向ではあった。しかし、それによって、トルコ人がたえず弱体化され、ヨーロッパ支配の野望が妨げられたという結構な結果はちゃんとあったのだ」



1829.9.1(火)

「懐疑の時代は過ぎ去っている。今や神はおろか、自分自身を疑う人もいない。その上神の本性や霊魂の不滅や霊魂の本質やそれと肉体との関係といったようなことは、永遠の謎であって、哲学者もこの点ではわれわれを前進させてはくれないのだよ。現代のあるフランスの哲学者は、大胆にも自分の論文を次のように書き出している。『人間が、二つの部分から成り立っていることは、周知の通りである。すなわち、肉体と霊魂である。したがって、われわれは、肉体から考察をはじめ、つぎに霊魂に移りたい。』だが、フィヒテ(1762-1814)はすでに一歩先を歩いていて、次のような言い方で、もうちょっと賢明にこの問題から身をかわしているよ、『われわれは、肉体としてみた人間と霊魂としてみた人間について論じてみたい。』彼は、これほど密接に結びついて一体化しているものは、切り離そうにも切り離せないことを、よく感づいていた。カント(1724-1804)は、今さらいうまでもなく、いちばんわれわれにとって有益だね。つまり彼は人間の精神がどこまで到達できるかを見定めて、解決できない問題には手をつけなかったからさ」


「ドイツ人が哲学上の問題の解決に悩みぬいている間に、イギリス人の方は、その偉大な実践的知性を発揮して、われわれを嘲笑しながら世界を征服している。奴隷売買に反対するイギリス人の長口舌はみんなも知っている。そしてこういう姿勢の根底にはどんなに人道的な原理があることか、といってわれわれをたぶらかそうとしているが、今や、その真の動機が現実的な目的にあるということは明らかだよ。周知の通り、こういう目的なくしては、イギリス人は決して何もしないのだから。我々の方もこれを心得ておくべきだったのさ」



(山下肇訳)











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