ヘーゲル(1770-1831)はこの出発点から、彼が論理の科学と呼ぶものの中で詳しく説明する概念の体系を発展させる
この概念の体系は、非物質的で、理解可能で、有機的に構築されている点で、プラトン(427 BC-347 BC)の形相の世界に似ている
ヘーゲルとプラトンの世界の違いは、プラトンの形相の世界が変化や生成のない静的な世界なのに対し、ヘーゲルの場合は過程が浸透しており、動的なのである
ヘーゲルの世界は、一つの概念が論理的必然により別の概念に導かれる生成の中に現れる
これは、プラトンの形相が静的であるため、自然界の変化や過程の起源を説明できないというアリストテレス(384 BC-322 BC)の異論に答えるものである
ヘーゲルのにとっての自然の変化、自然の起源は、概念の世界における過程の論理的帰結である
つまり、論理的優先性が時間的優先性の基盤なのである
従って、アリストテレスとは異なり、ヘーゲルは彼の宇宙論の初めに、第一原因として思惟者あるいは精神を置く必要がない
彼は神を論理の科学が研究する対象として記述するが、神は彼にとって精神ではない
それは誤った擬人法で神を考えていることになる
神とは自己創造し自己存続する世界あるいは純粋な概念の有機体である
精神は、神が自己創造の過程――それは世界を創造する過程でもあるのだが――において獲得した決定の一つに過ぎないのである
ここに、バークリー(1685-1753)は未解決のままにし、カントは解決不能とした神の精神と人間の精神の関係に対するヘーゲルの回答がある
世界における人間の重要性は、まさしく人間が精神の運び手になっているからである
世界の過程が神の自己創造の過程と同一のものとして捉えられている点で、これは汎神論に似ている
しかし、汎神論と違うのは、純粋に創造的概念としての神自身は物質的世界に先立ち、その原因として超越している点である
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