2020年3月19日木曜日

徳認識論と信念倫理(3)



知的生活にとって、徳認識論は1960年代に誕生して以来、徳倫理学と並行するものである
それは、エリザベス・アンスコムピーター・ギーチアラスデア・マッキンタイアらの仕事の中で生まれた
徳倫理は規則による倫理とは対立する

後者においては、一つの行動が道徳的かどうかは規則や命令に依存しているかどうかで決まる
カントにとって、この命令は定言的である
すなわち、如何なる経験上の条件にも煩わされることがない

例えば、嘘を決してついてはいけない、なぜならそれは普遍化できない行為だからである、となる
優れた道徳的規範は、行動を縛る原則が普遍的法則に高められるように行動することである
規則による倫理は、すべての人間の行動の道徳的規範を成す規則は何なのかを決めることに関わっている

それに対する徳倫理は、行動ではなく動作主あるいは行動する人間を対象とする
行動の道徳性を生むのは、その人間の道徳性である
そして、人間の道徳性は、正義、勇気、節制などの性格の特性に由来する

正しい道徳的問いは「私はどのような行いをすべきか」ではなく、「私はどのような類の人間であるべきか」である
優先される概念は、務め、義務、命令の概念ではなく、徳、卓越、善、信頼のそれである
嘘が禁じられるのは、それが普遍化できないからではなく、嘘をつく人の堕落した特徴を物語るからなのである


(つづく)







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