2022年4月7日木曜日

ヒラリー・パットナムの「科学と哲学」3
























「もう一つの失敗としてのポストモダニズム


論理実証主義が科学によって哲学が陳腐なものにされる危険性に抗そうとしたとすれば、ポストモダニズムは科学を捻じ曲げることによって哲学の威信を取り戻そうとした

我々が「事実」を記述したと思っているものは、ただの作り話に過ぎないとしたのである

ポストモダニストは欺瞞のない他の言説があると考えていたわけでもなかった

寧ろ、少なくともジャック・デリダ一派の手にかかると(他のグルの下でも同様なのだが)、言説そのものが「本質的に」欺瞞的であると見られていた

ポストモダニストは現実を真に表象したものなど存在しないし、存在し得ないと主張したのである


普通、このような革命的な主張は強力な論拠に支えられていると思うだろう

しかし、この運動に引き寄せられた分析哲学で鍛えられた最も知性的な哲学者であるリチャード・ローティでさえ、デリダの議論の多くが「ただただ酷いものだ」と書いている

ローティがポストモダニストの見方を擁護する時には分析哲学者(セラーズクワインデイヴィッドソン、そしてわたし)の議論に合わせて行う

しかし、このゴタゴタした状態を議論するよりは、次のことをに言わせてほしい

現実の部分や局面を言語で表象できるとする「表象主義」は「実在論」と言われていたものであり、実在論は多くの教授が「表象主義」という新しい名前を与えたからといって見下すべき酷い誤謬にはならない







0 件のコメント:

コメントを投稿