2022年4月21日木曜日

パットナム「自然主義の中身と魅力」(3)

























「『自然主義』の不安定性」(1)


第1級の概念システムに含まれるものに関して言えば、クワイン(今日で言えば、サイモン・ブラックバーン)とバーナード・ウィリアムズはミニマリズムと呼ばれるものを代表しているが、そんなに多くの我々の言説を「第2級の概念システム」の範囲に退けるという考えに多くの自然主義者が居心地よく感じないのは理解できる

そしてこの居心地の悪さは、一部の「自然主義者」を以下のプロジェクトに駆り立てた

彼らは、クワイン、ブラックバーン、ウィリアムズらが第1級のシステム(ウィリアムズによれば「世界の絶対的概念」)から追い出した大部分は、実は第1級のシステムに「還元される」ことを示そうとしたのである

つまり、「自然主義者」の一翼が(物理主義的)「存在論的還元主義」の方向に押されたのである

リチャード・ボイド、そしておそらくジョン・レイルトンのような最も野心的な存在論的還元主義者は、倫理的に善であることの性質までも復権しようとしたが、そこまで行く哲学者は稀であった

ジェリー・フォーダーが有名だが、他にも「意味」の物理主義的説明をしようとした人たちがいる

さらに、ハートリー・フィールドペネロプ・マディのような人たちは、数学の内容についても物理主義的説明をしようとした

問題は、このような存在論的還元主義が身近なサークルや少数の友人や教え子以外に支持者を得られなかったことである

そして、哲学においては常である「後ずさり」が始まるのだが、一体「自然主義者」はどこに後ずさりするのだろうか








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