2022年8月14日日曜日

ゲーテの言葉から(41)





















 
 Ilmenau in 1900



それまで壁しかなかったところに玄関が見え、そこから顔が異常に大きな男が入ってくるではないか

慌てて対応しようとしたが、全く聞く様子を見せない

身の危険を感じて起き上がろうとした時、次第に現実に戻り、玄関とその男は消えていった

現実に移行する時、その男は本当にそこにいるのかと自問し、確かに実在していたと答えていた

幽霊の伝説の中には、このような類のものが含まれているのかもしれない

プラトン(427 BC-347 BC)の『テアイテトス』を思い出した

いずれにせよ、真夏の夜の不思議な夢であった

それではゲーテ(1749-1832)に行きたい 




1927.9.26(水)

「これからもたびたびここへ来ようね。人は、窮屈な家の中にいると、ちぢこまってしまう。ここへ来ると、目の前に見る大自然のように、気持ちが大きくなり、のびのびする。人は、本来いつもこうであるべきなのだ」

「私がここから見渡す土地土地には、長い人生の豊富な思い出が結びついている。青春時代には、あのイルメナウの山中で、いろいろなことをやってのけた。それから、あの下のなつかしいエルフルトでは、どれだけ愉快な冒険をしたかわからない。ゴータにも、若い時分には、たびたび好んで行ったことがある。けれど、もう長いあいだまるで行っていないようなものだ」



1927.10.1(月)

「私は、皇帝によって一人の領主を描き出そうとした。その人物は、国土を失う可能性のあるあらゆる特性をそなえており、後日はたしてそのとおりになってしまうのだよ」

「国家の繁栄や臣下の幸福など、少しも気にかけていない。彼は、ひたすら自分のことだけを考え、今日も明日もなにか新奇な逸楽を求めて耽っている。この国には、法律も正義もない。裁判官自身が共犯であり、犯罪者の味方だ。前代未聞の犯罪が行わているのに、抑えられず、罰せられもしない。軍隊は、給料も払わないし、規律もない。そして、強奪をしながらうろつきまわり、自分の給料をみずから調達して、できるだけ自給自足をはかっている。国庫には、一文もなく、今後金の入ってくる当てもない。皇帝自身の家政も香ばしくないらしい。台所も倉庫もすっからかんだ。毎日毎日のことで、もはや進言するすべもなくなった内府は、すでに、高利貸しのユダヤ人の言うなりである。すべては、彼の抵当にとられているのだ」


(山下肇訳)










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