久し振りにゲーテ(1749-1832)に戻りたい
1831.2.23(水)
「私は、この最高の存在である神が悟性や理性をもっているかどうかは問題にしない。それよりも私は、神が悟性であり、また理性そのものなのだと感じる。すべての生物は神によってつらぬかれ、人間は最高者たる神の部分を感じるほど多分に神的なものをもっているのだ」
1831.2.24(木)
「自然にかんしてむずかしいのは、われわれにはかくされている法則を見つけ出すことであり、われわれの感覚に反する現象によって惑わされないということだ。なぜかといえば、自然のなかでは、多くのものが感覚には反するけれど真実だということがよくあるからね」
1831.3.2(水)
「デモーニッシュなものとは、悟性や理性では解き明かしえないもののことだ。生来私の性格にはそれはないのだが、私はそれに支配されている。
ナポレオン(1769-1821)は完全にそうだった。しかもこの上なくそうだったので、彼にくらべられるような人はほとんといないくらいだ。・・・この種のデモーニッシュな人をギリシャ人たちは半神にかぞえていたのだ。
(出来事にも)とくによく現れる。しかもわれわれの悟性や理性では解き明かすことができないすべてのものにあらわれるものだ。・・・生物の多くもまったくデモーニッシュな存在であり、部分的に影響されているものも少なからずある」
1831.3.3(木)
「天幕のなかで生活できる人が一番幸せだよ。あるいは一部のイギリス人のように、町から町へ、宿屋から宿屋へとわたり歩いて、いつもうまいものを食べている連中がいちばん幸せさ」
1831.3.9(水)
「人はあまりにもつまらぬものを読みすぎているよ。時間を浪費するだけで、何も得るところがない。そもそも人は、いつも感嘆するものだけを読むべきだ。私が青年時代にそうしたように、そしていまもウォルター・スコット(1771-1832)でそうしているように。私はいま、『ロブ・ロイ』を読みはじめたが、さらに彼の最良の小説を順々に読みとおしていくつもりだよ。むろん、素材も、内容も、人物も、取扱いも、さらに予備研究における無限の努力、それに負けない叙述におけるデータのすぐれた真実さも、みんなことごとく、立派なものだ!」
(山下肇訳)
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