2021年12月6日月曜日

コンシュ「哲学的自然主義」(15)





























「自然主義」が意味するものは何だろうか。

世界に存在するすべてのものの中で、特に人間について考えれば、それを最もよく示すことができる。

その起源に関して言えば、二つの解しかない。

すなわち、人間は自分より高いところから来たとするか、自分より低いところから来たとするかである。

一方に、起源に精神を置く唯心論があり、他方には、起源に自然を置く自然主義があるが、その中のある者は自然を物質に還元する。

ダーウィンの進化論は、人間が自然に由来することを示している。

キリスト教神学者は、進化論は人間の体については有効だが、神によって創られる魂については有効ではないことを認める材料を持っていない。

これは、ポッパーであれば言うであろう「反証可能」ではない仮説のタイプそのものである。

唯心論と自然主義との二律背反は、「イズム(主義)」という言葉のあるなしに関わらず、世界と生命について素直に省察した人の心に浮かんだ二律背反である。

例えば、イギリスの政治家グラッドストンは、自然の上位に自然とは異なる原理を認めるかどうかで2種類の精神を区別した。

法律』の第10巻の中でプラトンによって始められた対立は、哲学の全歴史を貫いて見られる。

ライプニッツによって始められ、マルクス主義者によって再び取り上げられた観念論と唯物論の対立は横に置いておくべきである。

なぜなら、「観念論」という言葉は、例えばプラトンあるいはカントで全く同じ意味ではないのみならず、観念論とは唯心論の特別な形に過ぎず、唯物論は自然主義の特別形に過ぎないからである。












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