ヤーコプ・フォン・ユクスキュルは、周囲の環境(milieu ambiant)という意味における「環境」という概念を用いている。
周囲の(ambiant)という言葉は、「取り囲む」を意味するラテン語の ambireに由来する。
フォン・ユクスキュルの環世界(Umwelt)は、シグナルの価値がある刺激の集合によって決定される生物の行動の環境で、それは刺激の重要な選別を前提としている。
ダニは小枝の見張り場所で何年もの間、木の下を哺乳類が通り過ぎ、その匂いで刺激されて動物の上に落ち、皮膚の下に落ち着くのを待つことができる。
この間、森のような環境から来る刺激には全く反応しない。
ダニは自分独自の世界、自分を中心とした環世界、認識が起こらない閉じた世界の中で生きるのである。
生物の中での原子の配置や相互の反応は物体の中よりも遥かに複雑であり、おそらく物理学や化学に挑戦していると言えるかもしれない。
しかし、生物を構成する分子や原子のシステムがどんなものであれ、それは原則として認識を拒むものではないだろう。
しかし結果として、認識には動かされない自分独自の世界に生きている存在がいる。
物質が説明できないことは、主体である存在――「主体」という言葉を、内面性の核となるものと理解して――の出現である。
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