トマス・アクィナスにおける形而上学の概念:伝統的な形而上学の概念の3つの特徴に関する歴史的証拠
私がこれまでに提示した伝統的な形而上学の概念の3つの特徴、すなわち、その矮小化、混乱、問題とならない性質についていくつかの証拠を提供したい
そうすることにより、これがある特定の立場からの見方ではないことが分かるからである
その証拠はトマス・アクィナスの形而上学の概念を通して提供できるかもしれない
アクィナスは折に触れて、体系的にではないが、アリストテレス形而上学についての注の中で形而上学の概念を語っている
アクィナスは「第一哲学」、「形而上学」、「神学」(神の科学=scientia divina=神的なるものの知)を同一のものとしている
scientia divina は天啓から生まれる知、人間の信仰に関係した知を意味する scientia sacra(聖の科学)とは別のものである
上の3つを同列に並べることはどれだけ驚くべきことなのだろうか
アリストテレスは形而上学という言葉は知らなかったが、アクィナスの見方はアリストテレスのものでもあったのである
アクィナスは最も高度な知(彼は常に形而上学的知と呼ぶ)は、全ての知を支配するscientia regulatrix であるという前提から進める
最も知り得るものを3つに分ける
1.何かが最も高度な意味において知り得る
中世においては、知るということは「もの・こと」をその原因で把握することである
究極の原因、第一原因に戻る時、何かは最も高度な意味において知られる
この考えによれば、第一原因は世界の創造者である神になる
この原因が知ること、すなわち第一哲学の対象になる
これはアリストテレスの思考とは相容れない思考の流れになる
2.何かを感覚的な知との比較で理解する
他方、知性とは個別、特定のものではなく、すべてに共通するものに関するものである
これはアリストテレスが「オン」についての知で光を当てたかったことである
アクィナスはこれを transphysica、すなわち物理的なものや感覚的なものを超えたものについての決定であるとした
つまり、この知を形而上学と定義したのである
第一哲学と神学と同列に置いた形而上学を特別にこのように定義したということは、存在論(ontology、後に metaphysica generalis と呼ばれることになる)と同義に理解していたことになる
3.何かが知性そのものの知に関して最も知り得る
アクィナスは最も知り得るものは物質がないものとした
それは霊的なもの、超えたものの知で、神に関する知 scientia divina、神学になる
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