Ivan Illich (1926-2002)
イヴァン・イリイチという工業化社会を批判したカトリックの司祭から哲学者になった人物がいる
批判の対象には医学も入っている
例えば、以下の本もその一つである
Limits to Medicine. Medical Nemesis: The Expropriation of Health(Marion Boyars, 1976)
医学が寿命延長に果たした役割などは幻想で、環境の整備(公衆衛生)の方が重要であった
寿命延長にはコストのかからない方法が重要で、特別な治療法開発には多大の費用が掛かる
1971年だけを見ても医療過誤の訴えが15,000件もあり、入院中におかしくなった患者は7%になるという
彼は医原病(iatrogenesis)の概念を広げて、3つに分類している
1)本来の臨床的な医原病(医療そのものが原因となる病気)で、これこそが病原体だという
2)社会的な医原病で、医療化の行き過ぎのこと
これは、本来医療とは関わりのない社会生活での問題までもが病気とされ、医療の対象となること
3)文化的医原病で、人間が伝統的に持っている死や痛みや病と向き合う力を破壊するもの
これらは医療システムに組み込まれており、不可逆的である
このように、工業化社会は生に質を低下させているとしている
――2008年7月14日のメモから――
半世紀の間に状況はさらに悪化しているようにも見える
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