2022年10月24日月曜日

コリングウッドによる自然(30): ルネサンス期の自然観(6)





























 William Gilbert (1544-1603)




本日は、ウィリアム・ギルバート(1544-1603)とヨハネス・ケプラー(1571-1630)である

自然についての一般理論が次の段階に踏み出したのは、イギリスの医者で物理学者であり、自然哲学者でもあったギルバートが1600年に刊行した『磁気について』(De Magnete)であった

因みに、この本はフランシス・ベーコン(1561-1626)に拒絶されている

磁力の研究をしていたギルバートは、引力が自然全体に浸透し、全ての物体は他のすべての物体に同様の力を及ぼしていることを提案した

ケプラーは17世紀初頭に、この提案を発展させ、含みのある帰結を齎した

ケプラーの主張は、全ての物体はたまたま居合わせたところに静止し続けようとする傾向があるというもの

これは、慣性の原理を述べることにより、ギリシアや初期ルネサンスの運動についての見方を断固として否定するものであった

ただ、一つの物体が他の物体に近づく時はいつも、全ての物体が近くにある物体と引き合うので、静止状態が乱されるとも言っている

従って、石は地球の引力により落下し、潮の満ち干は月の引力によるとケプラーは示唆している

ケプラーはまた、自然現象を扱う時には、霊魂(anima)という言葉ではなく、動力(vis)という言葉を使うべきだと提唱し、重大な一歩を踏み出したのである

換言すれば、質的変化を生み出す活力という概念を、量的変化を生み出す機械的エネルギーに置換すべきだという主張である











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