2022年10月12日水曜日

コリングウッドによる自然(19): アリストテレス(1)ピュシスの意味

























今朝は気持ちよく晴れ上がってくれた

嵐の後には、ススキの穂も萎れていたのだが、今朝は日の光を浴びて綿毛のように輝いている

植物の強さに感心すると同時に、もう少し秋を味わえる喜びがある

庭先にはトンボも寄ってきて、日向ぼっこなのだろうか、近づいても全く動かない

わたしも動かないことにして、ぼんやりと次回のカフェ/フォーラム・シリーズのことを思い描いていた

これまでは、自分の中に蓄積したテーマをあまり関連性を考えずに飛び回っていたような感がある

今回、FPSSで繋がりを持った話を始めることにしたが、他の会もどこかで繋がるようなテーマを選んで進めるのも面白いのではないかという考えが浮かんできた

勿論、それに縛られることはないのだが、、

いずれにせよ、具体化し次第、お知らせする予定である



さて、本日もコリングウッド(1889-1943)で、新らたにアリストテレス(384 BC-322 BC)を論じている

具体的には、『形而上学』の第12巻に展開される宇宙論を論じることになるようだ

この部分については、プラトン(427 BC-347 BC)の影響下に書かれた初期の作品とする意見と、後期の文体と成熟した発展の痕跡が見られるとする見方があるようだ

今日のテーマは、ピュシス(φύσις)の意味である

アリストテレスは、一つの言葉がいくつかの意味を持つことに注目し、だからと言って曖昧とは限らないと考えていた

そして、それらの意味は相互に繋がっているが、その中の一つだけが最も深く真なる意味であるとした

彼は、ピュシスの意味を次の7つに区別する

1)起源、あるいは生まれ

現実のギリシアの文献にこのような意味を持つことはないという指摘があり、コリングウッドも同意する

2)事物がそこから成長する種子

これも文献には出て来ない意味である

3)自然的物体の運動ないし変化の根拠

例えば、石が自然に落ちるなどと言う時の意味で、普通のギリシア語の用法である

4)事物がそこから作られる始原的物質

これはイオニア学派によって強調された意味である

紀元前6世紀の哲学において、事物の本質ないし本性を意味していたが、イオニア学派は事物の本性を事物が構成されている構成要素に関連付けて説明しようとした

5)自然的事物の本質ないし形相

紀元前5世紀の哲学の著作においても普通の用法においても、ピュシスはこの意味で使われていた

しかし、自然を自然的事物の本質と定義することは、自然的事物の定義がないところではトートロジーになる

6)一般に本質ないし形相

アリストテレスは、自然的事物を「自らの内に運動の根拠を持つ事物」と定義することによりトートロジーを回避している

7)自らの内に運動の根拠を持つ事物の本質

これこそ、アリストテレスが真の根源的意味としたものである

それ自身の権限で成長したり組織したり運動したりする原理を持っていることが事物のピュシス(自然)という意味であるとしたのである








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