今回から、いよいよ現代の自然観に入る
最初のテーマは生命という概念で、まず進化生物学が論じられる
気分も新たに早速始めたい
ヘーゲル(1770-1831)の時代から進化という概念は二つのフェーズを通り過ぎた
一つは生物学的フェーズで、二つ目が宇宙論的フェーズである
生物学的フェーズは、自然の一般理論との関連で極めて重要である
なぜなら、デカルト(1596-1650)の物質と精神の二元論をその間に生命という第三項を入れることにより最終的に解体したのがこの思想の運動だったからである
19世紀の科学研究は、物質の科学である物理学と精神の科学から独立した生物学研究の自律性を確立することに向けられた
古代や中世の宇宙論では、物質、生命、精神は融合しており、識別するのが難しかった
延長としての世界は物質的なものと見做され、動くものは生きているものとして、秩序だったものは知的なものとして見られた
16世紀と17世紀の思想は魂を世界から追い出し、死んでいる物質の秩序だった運動を考えることにより近代物理学を作り出した
そこには生きたものの運動との対比が暗黙の了解としてはあったのだが、近代の生物学はまだ生まれておらず、デカルトも動物を自動機械として考えようとしていた
ヘーゲルでさえ、自身の宇宙論を自然の理論と精神の理論に分け、生物学はまだ独自の領域にはなっていなかったのである
19世紀の生物学が勃興する前、生物における生成の過程は、親の特徴的な形が子供に再現されることであると考えられていた
それが正確に行われなかった時には逸脱や失敗と見做されたのである
当時、生物は安定しており、異常が出現しても生き延びられないか、子供を作ることができないと思われていた
しかし、18世紀の古生物学者の研究によれば、この見方は最早有効ではないことが示されていた
実際に地質学の研究が、昔の動物相、植物相と今のものが大きく異なっていることを明らかにすることになる
つまり、歴史が流れると、生物の形は変化すると考えざるを得なくなる
人類の歴史を顧みても、政治的、社会的組織は同様の進化を経ていることが分かる
この仮説は、主にダーウィン(1809-1882)による家畜の交配研究により実証された
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