2022年12月12日月曜日

コリングウッドによる自然(60): 現代の自然観(2)生命という概念(2)
































これらの思索は、全く新しい生成過程の概念に導いた

それまで自然は固定された生命の形を再現するとされていたのに対し、これからは常に新しく改良された形を産生しようとするものと見做されたのである

それは人間の養牛業者のようなものだが、彼らにとっての改良された形とは彼らの目的に沿うもので、牛の利益にかなうとは限らない

つまり、養牛業者の目的が牛に押し付けられるのである

自然が生命の形を改良する場合、自然はその内側から作用する

従って、自然が改良された生命の形を再現するという意味は、生きること、生存に適している形のことである

生命の歴史とは、自然が生命をより効果的に生きるようにする実験の終わりなき繰り返しと考えられる

このような生命の概念は、すでに浸透していた物質と精神の概念と区別することが非常に難しかった

新しい生物学は生命を物質と似ているもの、意識的な目的を完全に欠いたという意味で精神とは似ていないものとして考えた

ダーウィン1809-1882)は選択という言葉や有機的な自然における目的論を含意する言葉を使うことに躊躇しなかったが、自然を意図的に実験したり目的を意識するものとしては一度も考えなかった

彼の生物学の底にある哲学を考え出そうとしたならば、ショーペンハウアー(1788-1860)の意識や道徳的属性を全く欠いた、創造的で指導的な力である盲目の意志の自己表現としての進化というような概念に至っただろう

そのような考えは、ダーウィンの同時代人――例えば、テニスン(1809-1892)――の空気の中に漂っていた

他方、生命は歴史的過程の中で発展し、ランダムではなく一つの決められた方向に向かうという意味で、物質ではなく精神のようなものであるとも考えられた

もし環境が変化したとする

例えば、魚がいる海が徐々に蒸発していく場合、魚はまず泥の中で、そして乾燥した陸地で生息できるように代々適応する術を見つけるだろう

それが安定して来れば、より適応できないものを圧倒していくだろう

この理論は、内在的であり超越的でもある生命力という哲学的概念を含意している

内在的という意味は、これらの有機体の中に具現化されたものとしてだけ存在するからである

そして超越的という意味は、その個体とそれが属する型の生存や永続を実現しようとしているだけではなく、新しい型の中により適した実現を常に試み、それが可能であるからである







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