2022年12月20日火曜日

コリングウッドによる自然(67): 現代の自然観(9)現代物理学(2)

























(2)古い物質理論の複雑な事情と矛盾

しかしながらニュートン(1642-1727)の時代から、この単純な図式は新しい要素が加わることにより分かり難いものになった

ニュートンは次のように主張した

物質のあらゆる粒子は、恰も他のすべての粒子に対して、その質量に比例し、距離の二乗に反比例する強さで作用する引力を持っているかのように作用する

ここで引力が運動の第二の原因として現れ、衝撃と一緒に存在するものとして捉えられたのである

このような粗雑な二元論の形は、哲学においても科学でも受け入れ難いものである

真摯な物理学者であれば、ある運動は衝撃により、別の運動は引力という別の力によるなどと示唆することは、両者がどのような関係にあるのかを問うことなしには決してないだろう

ニュートン自身はこの困難を強く感じていたので、物質に内在的に属する引力という原理を一度ならず明確に否定したのである

彼はリチャード・ベントリー(1662-1742)にこう書いている(1692 2.25)
引力が物質にとって生得であり、内在的で本質的であるべきなので、一つの物体がもう一つの離れたところにある物体に何の仲介もなしに作用するということは、わたしには全くの不可解なことなので、哲学的問題において思考力のある人であればそんな考えに陥るとは到底信じられないのである







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