アルクマイオンという紀元前5世紀に活躍した南伊クロトン生まれのギリシア人哲学者がいる
自身の書いたものは殆ど残っておらず、第三者の証言に依らざるを得ないので、実像を捉えることは難しい
彼が医学者なのか、科学者なのかも分からないらしい
また、当時クロトンに教団を持っていたピタゴラスの学派に属していたのかについても議論があるようだ
ピタゴラス率いる教団とアルクマイオンとの間にどのようなやり取りがあったのだろうか
想像を刺激される
そして、この人物の考えの中にも興味惹かれるものがある
例えば、病気についての考え方である
体を構成する対立する力(湿・乾、冷・温など)が平等・均衡状態(イソノミア)にあるときには健康を維持する
しかし、どれか一つの力が支配する君主制(モナルケス)になると病気が発症すると考えた
健康と病理を政治的メタファーを用いて定義したのである
このように対立する力のバランスで健康を解釈する見方は、ヒポクラテス、ガレノスを経て現代まで引き継がれている
また、心や魂が心臓にあると考えられていた時代に、脳がその場であることを最初に指摘した人物とされている
知覚(例えば視覚)は(視神経を介して)脳に結合されていると考えた
さらに、知覚することと理解すること――現代の言葉でいえば、一次意識と二次意識――の違いについて言及した
それだけではなく、魂の永遠を唱え、プラトンにも影響を与えたとされる
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