2021年7月12日月曜日

エンツォ・パーチさんの日記から(11)





















 

Milan, 7 juillet 1958
午後、ルクレティウスの『物の本質について』とエンペドクレスの影響についてのいくつかの考えが浮かぶ。エロスはルクレティウスにおける主要なテーマである。それはまさしく、この詩を科学の叙事詩的高揚から曖昧さの劇的な認識に変容させる第VI巻である。人間の文明史はまた、曖昧さのお清めの歴史でもある。

アテネのペストはトゥキディデスと医者との関係について考えさせる。病気としての、そして治癒としての自然(それをヴェルナー・イェーガーは「ヒポクラテスの公理」と呼んだ。すなわち、自然は自分自身を癒すのである)。 ルクレティウスは病気と文明、そしておそらく、狂気と文明との間にある秘密の関係を見抜いていた。その非常識さの神話は詩と密接に結び付いている。ルクレティウスにおいては、ヒトと自然、憎悪と愛情の間にあるエンペドクレス的矛盾が反映している。そして最終的には、エンペドクレスの影響がエピクロスのものより強くなっていることが明らかになる。

ルクレティウスとカトゥルス。カトゥルス同様、ルクレティウスには一つの宗教性があり、『物の本質について』の第VI巻に見られるエロスはアッティスを想起させる。

 




 

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