2022年3月10日木曜日

ハイデッガーの形而上学(29)
























c)人間存在がそこに在ることとないことに基づく気分がそこに在ることとないこと



これは意識と無意識とは何の関係もない

逆に、そこにないことは優れて意識的であり得る

離れて在るという潜在性は人間一般の在り方に属するものである

我々は人間存在をそこに在る(Da-sein)ものと名付けるが、その内容はこれから決定される

離れて在るということは、そこに在るDaseinの本質に関わるものである


気分は呼び覚まされるものである

しかし、それはそこに在ると同時にそこにないことを意味している

それが在る同時にないということは、人間存在の内奥の本質と関係している

気分は人間存在に属している

ただ、それは何かのもの(石など)が手元に在るのかないのかという事態とは全く異なっている

離れて在るということ自体、人間の存在である

それは存在しないことではなく、Da-seinがそこに在る1つの在り方である

石の場合にはそこに存在しないが、人間の場合、離れることができるためにはそこにいなければならない


気分(喜び、満足、至福、悲しみ、憂鬱、怒り)は心理的、霊的な何かであり、感情の状態である

それが我々の中にあることは確認できる

気分や感情は常に変化している

ただ、気分が人間存在に属しているとすれば、それは単なる感情の1つの状態ではない

従って、我々はこう問わなければならない
人間の本質に属するものとしての気分をいかにしてポジティブに捉えるのか

そして、我々が気分を呼び覚ましたいのであれば、どのように人間自身と関連付けるのか






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